来県自粛に観光界から慎重論 県の緊急事態宣言要請方針 「強力補償」求める声


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県コロナウイルス対策本部会議終了後、会議室を後にする玉城デニー知事(右)=18日午後6時、県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県が緊急事態宣言に向けた最終調整を進める中、影響を受ける各業界から企業の経営を維持できるよう強力な補償を求める声が上がっている。

 県は18日にオンラインで経済対策関係団体会議を開催し、意見交換した。参加者によると、緊急事態宣言を出すかどうかについて県から明言はなかったという。宣言を出す場合には、時短営業について営業終了時間を現在の午後10時を午後8時に前倒しし、酒類の提供は午後7時までの要請となる方向性を示した。

 県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「営業時間終了が午後8時になれば、特にスナックやバーは休業を余儀なくされる。18日に(宣言が)発表されると思っていたが、組合員のためにも県には早く方針を示してほしい」と求めた。

 県商工会連合会の米須義明会長は「企業は生きるか死ぬかの状況に追い込まれている。(宣言を)出すなら給付金、協力金を国の基準で出すことは不可欠だ。飲食店だけでなく、卸売業など付帯する産業も対象としてほしい」と話した。

 現在でも大きな打撃を受けている観光業界では、全国に向けて県が来県自粛を呼び掛けることへの反対意見が根強い。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「国の緊急事態宣言が出ている11都府県でも、県外からの来県自粛は要請していない。観光立県として、渡航(来県)自粛を求めるメッセージを出すことは避けてほしい」と求めた。県内では若年層を中心に感染が拡大していることから「市町村と連携し、広報車両を使うなどして、県民に身近な所でメッセージを伝えていくことを強化していくべきではないか」と話した。

 県ホテル協会の平良朝敬会長は「(来県を)全面的にクローズにしてしまうと、PCR検査を受けた人がワーケーションで訪れることもできなくなる。経済を回しながら、感染を抑える方策を考えるべきだ」と強調した。