増える在庫と赤字・・・国際通りの土産品店で相次ぐ休業 「飲食店以外にも補償を」


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 県内でも新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないことを受けて、玉城デニー知事は19日、3度目となる県独自の緊急事態宣言に踏み切った。飲食店などへの時短営業要請を午後8時に前倒しすると同時に、協力金の支給方式を、業界から要望のあった「店舗ごと」に切り替えたことを評価する声が上がった。一方で、観光客減少で打撃を受ける観光業などに直接的な補償はなく、苦境を訴える事業者もある。経済関係者は、県や国に補償の充実を求めている。

 政府が11都府県に緊急事態宣言を発出した14日以降、那覇市の国際通りを中心に、土産物品店など観光客向けの店舗の休業が相次いでいる。ある事業者は「開けていても開店休業状態だ。9割方の店舗が閉まっているのではないか」と肩を落とした。県は19日に独自の緊急事態宣言を出したが、営業時間短縮を要請された飲食店以外に協力金は出ず、観光関連業界は厳しい状況に陥っている。

 「県民の皆様のお力をお貸しください」―。国際通りの土産物店「東宝堂」のスタッフは、会員制交流サイト・フェイスブックに窮状を書き込んだ。

 国が緊急事態宣言を再発令した後、賞味期限のある菓子類の在庫を抱え、原価割れ覚悟の半額で商品を売り出した。投稿を見た地元客が買い求めたことで、在庫を減らすことができた。スタッフは「少しでも現金に換えないと赤字がさらに広がる状況だった。投稿を見て買いに来てくれる人たちに支えられた」と感謝した。

 国際通りでは、昨年12月末に観光支援事業「Go To トラベル」が停止すると、回復基調だった観光客の姿が一斉に消えた。さらに、年明けの国の緊急事態宣言が追い打ちをかけた。

 通り周辺で4店舗を休業している服飾品の製造・小売業者は「年末年始の売り上げは例年の1割にも満たなかった。店を開けても赤字になるだけなので、緊急事態宣言まで出されると、休業せざるを得ない」と苦しい状況を吐露した。別の土産物品店は数店舗を閉め、従業員を休ませている。県の緊急事態宣言を受けて、店の関係者は、「このままでは店舗の継続は不可能。飲食店以外にも助成をお願いしたい」と訴えた。