【識者の見方】沖縄の緊急宣言、県経済、観光への影響は?


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 前回の緊急事態宣言と比べると、経済を完全に止めるのは避けたいという意図が見える内容となった。経済界からも強い要請があったと聞いており、意向の確認を進めた結果、19日まで宣言を出す日程が延びたとみられる。

 営業時間短縮の「働き掛け」をする施設として、数業種が明示されている。予算的な兼ね合いもあり、飲食店のみ「要請」で協力金を支給する対象と判断したとみられ、働き掛けの対象事業者にとっては厳しい内容ともいえる。

 飲食店の時短要請は営業時間が午後8時まで、アルコール提供は午後7時までとなった。酒類を提供していた居酒屋やバーなどの店舗は開店休業の状態になり、大きな影響を受けるだろう。一般の食堂や飲食店でも、県民が外で飲食を控える動きが強まることで、需要の低下も予想される。食材や飲料を提供する卸売業、生産者にも影響が広がるとみられる。

 緊急事態宣言が発出されている11都府県への往来自粛に関しては、既に宣言対象となっている地域からの観光客数の減少が大きかった。県の緊急事態宣言の発出で、2月7日までの期間中、目先の観光客は数的にはそれほど大きな影響はないかもしれない。

 ただ、独自とはいえ緊急事態宣言を出した地域になったというインパクトは大きい。11都府県の緊急事態宣言ならば、期間の終了後に「沖縄へ行こう」という需要が出てきたかもしれないが、期間修了後に沖縄への観光の予約が鈍る可能性があり、注視が必要だ。

 無観客とはいえ、プロ野球などのキャンプが実施されることが決まった。各球団は選手、球団関係者でホテルを貸し切っており、提供しているホテル業界、食事を提供する事業者にとっては胸をなで下ろすことになる。ただ、プロ野球キャンプの効果は大きく、毎年延べ人数で30万人が訪れていた。無観客となったことで、関連する消費の面では影響が出るとみられる。
(武田智夫氏、りゅうぎん経済研究所 調査研究部長)