迷い鳥に保護主現る 那覇の河川敷のニワトリ ネットニュースきっかけに


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠
河川敷のニワトリを保護した真境名由幾乃さん(左)と情報提供者の高嶺太一さん=1月20日、那覇署

 昨年末ごろから那覇市の姫百合橋付近の河川敷に住み着き、近隣住民から「ちきん」の愛称で呼ばれて話題になっていたニワトリが無事に保護された。保護主に名乗り出たのは那覇市の真境名由幾乃さん(43)。既に4羽のニワトリを飼育しているという真境名さんは、「ちきん」を取り上げたネットニュースの記事を子どもから教えられて保護を決意したという。1月20日午前、情報提供者の高嶺太一さん(40)=那覇市=と共に「ちきん」を捕獲し、那覇署で拾得物保護の手続きを行った。

 大きな網と段ボールを手に捕獲に臨んだ真境名さんと高嶺さん。「ちきん」が河川敷の草むらからひょっこり顔を出して近づいてきたため、真境名さんが「よしよし、こっちおいで」と優しく話しかけながら手を差し伸べると、怖がる様子もなくそのまま抱きかかえられたという。

 高嶺さんは「保護希望の連絡が複数件来ていたが、口ぶりから食べてしまいそうな人もいた。最初に連絡をくれて、ニワトリを飼育している真境名さんにお願いしようと決めた」と話した。

 高嶺さんによると、ニワトリに近づこうと子どもが河川敷に降りてしまうなど危険な場面もあったという。「ちきん」は迷子なのか、ペットとして飼われていたが捨てられた個体なのかわからない。

 普段から安里川を清掃している高嶺さんは「(ちきんを取り上げた)記事などを見て、簡単にペットを遺棄するような事例がでないでほしい」と心配している。動物を捨てる行為は犯罪で、100万円以下の罰金または1年以下の懲役が課される。

 那覇署によると、名札のない犬猫以外の動物を持ち帰った場合は遺失物横領にあたる。動物を拾った場合は1週間以内に警察署に届け出れば、3カ月保護した後に所有権が拾得者に渡るという。

 介護職をしているという真境名さんは「おじい、おばあに見せると『懐かしい』と喜んでくれる。名前は『ぼんじり』に変えようと思っている」と笑顔で語った。

河川敷に住み着き「ちきん」の愛称で呼ばれていたニワトリ=1月15日、那覇市