沖縄県内企業の賃金改善51% 過去最低 海邦総研調べ コロナで業績悪化響く


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 海邦総研(新崎勝彦社長)は20日、2020年度の県内企業賃金動向を発表した。正社員の賃金改善を「実施した」と「実施する予定」と回答した企業の合計は51・4%で、16年度の調査開始以来、過去最低となった。21年度の賃金改善予定についても「実施する予定がない」や「未定」との回答が合わせて6割近くに上った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う業績の悪化や先行き不透明感から、賃金改善に慎重になる企業の姿勢が現れた。

 調査は昨年12月3日~25日までの間、県内企業を対象に実施し、403社から回答を得た。業種別で、賃金改善を「実施した」との回答が最も多いのは情報通信業の71・4%で、卸売・小売の55・1%、医療・福祉の52・6%と続いた。

 一方、感染症によって業績に深刻な影響を受けている旅行・宿泊業は「実施していない」との回答が75・6%に上り、業種によって大きな違いがみられた。非正規職員に対する賃金改善を「実施した」との回答は31・5%で、正規職員よりも14・7ポイント低かった。

 冬季賞与を「支給する、した」との回答は61・0%、「毎年支給するが、今年はしていない」は11・2%、「未定・分からない」が13・9%、「恒常的に支給していない」は12・9%だった。

 同社によると、近年は人手不足が続いていたため、賃金改善を実施する企業が約7割と比較的高い水準だったという。同社は「新型コロナの影響で業績が極端に落ち込んだことで、待遇改善が行えなかったのではないか」と分析している。