東江「歴史を変える」決勝点 残り2分で技ありスピン ハンド日本1次リーグ突破


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アンゴラ戦でシュートを放つ東江=アレクサンドリア(ロイター=共同)

 ハンドボール男子の世界選手権は19日、エジプトのアレクサンドリアなどで1次リーグ最終戦が行われ、C組の日本はアンゴラに30―29で競り勝って初白星を挙げ、通算1勝1分け1敗の同組3位で2次リーグ進出を決めた。1次リーグ突破は1997年の熊本大会以来、24年ぶり2度目。この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた渡部(トヨタ車体)の4得点などで前半を16―12で折り返した日本は、後半に入り一度はリードを許したが、主将の土井(大崎電気)のゴールで逆転し、東江雄斗(興南高―早大出、大同特殊鋼)の決勝点で勝負を決めた。日本は6チームずつで争う2次リーグでアルゼンチン、デンマーク、バーレーンと戦う。次戦は21日午後11時半(日本時間)からアルゼンチンと。1次リーグで同組だったクロアチアとカタールとの対戦結果は持ち越すため、1分け1敗からのスタートとなる。

 試合時間が2分を切り、1点リードの日本がタイムアウトを取る。次の攻撃を外せば勝負の行方はまだ分からない。ダグル・シグルドソン監督が授けた指示は、この試合好調の渡部を介して突破口を開くこと。再開と同時に司令塔の東江雄斗が守備を引き付け、渡部が右サイドから中央に切り込む。しかし守備網に阻まれ、シュートにいけない。

 ここでパスを受けたのは、右45度にいた東江だった。ゴールを見据えると「目の前のディフェンス(の位置)がすごく低かった」。右側にステップを踏み、そのまま右サイドへ流れるように踏み切る。「何が何でも決めてやる」。ほぼ角度のない所からGKの足元を抜く技ありのスピンシュートで、左のサイドネットを揺らした。

 土壇場で差を2点に広げ、ほえながらガッツポーズを決めた。脳裏にあったのは2日前のカタール戦。終了まで残り1分を切った場面で同点を狙う7メートルスローを外した。「勝負どころでしっかり役割を果たすのが自分の仕事。今日は決められて良かった」と柔らかい表情で語った。

 カタール戦直後は気を落としたが、仲間やスタッフから「気にするな」と声を掛けられ、スムーズに次戦へ気持ちを切り替えられたという。後半の最終盤で一時追い付かれたアンゴラ戦を振り返り「これまでの代表ならずるずると逆転負けをしていたが、メンタルが本当に強くなっている」とチーム全体の成長を強く実感する。「日本ハンドの歴史を変えていきたい」。1次リーグ突破を通過点に高みを見据える。