苦境の観光業者「行政機関で出向受け入れを」 玉城知事、要請に前向き


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玉城デニー知事(左から3人目)に観光需要の回復に向けた要請書を手渡す沖縄ツーリズム産業団体協議会の下地芳郎会長ら=21日、県庁

 沖縄ツーリズム産業団体協議会(会長・下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長)は21日、県庁で玉城デニー知事と会談し、新型コロナウイルスで落ち込んだ観光需要の回復に向け、県の取り組みを要請した。

 県などの行政機関で観光事業者の出向を受け入れることについて、玉城知事は「任期付採用職員や臨時職員など、部署によっては年中、需要がある。市町村と連携して支援の在り方、方向性を探っていきたい」と前向きな考えを示した。

 要請は、中小の事業者を対象に新たな経営支援制度の創設を求めたほか、沖縄彩発見キャンペーン事業の再開と次年度の予算化などを求めた。

 下地会長は「コロナが落ち着いた後、観光立県として改めて国内や海外から観光客を受け入れるためには、この時期を乗り越える国と県の支援が必要だ」と強調した。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は、緊急事態宣言などで宿泊業への営業補償がないことに触れ「地元資本のホテルは借入金でなんとか持ちこたえているが、長期化すると売却や事業の転換などを検討せざるを得ない状況だ」と窮状を訴えた。

 沖縄ツーリストの東良和会長も、観光支援事業「GoToトラベル」の一時停止に伴う補償で、旅行や交通、観光施設が対象外になっているとして、県としての支援を求めた。

 玉城知事は「観光がリーディング産業であることを捉え、幅広く目を届けることが重要だ。感染対策に万全の策を期し、社会経済活動を動かすためにどれだけ汗をかけるのかが行政の責任の表し方だ」と述べた。