新大統領就任でマイク・モチヅキ氏に聞く 日米で兵力構成の検討必要 辺野古「欠点」認識も


新大統領就任でマイク・モチヅキ氏に聞く 日米で兵力構成の検討必要 辺野古「欠点」認識も
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 米ジョージワシントン大のマイク・モチヅキ准教授(日本政治、日米関係論)に、新大統領就任に伴う、米軍普天間飛行場移設問題や米国のアジア政策への影響について聞いた。

 ―新政権の安全保障政策はどのようになるか。

 「カート・キャンベル氏が国家安全保障会議(NSC)に新設するインド太平洋調整官のポストに起用された。今後、インド太平洋地域をマネジメントすることになる。キャンベル氏は意欲的で非常に強い政策立案者である。調整役ではなく、国防総省、国務省でもリーダーシップを発揮することになるだろう」

 「言えることは、中国に対する警戒は、前政権と同じように続けるということだ。キャンベル氏はオバマ政権でリバランスの枠組みを出し、それで政権が中国に対して厳しい政策を採るようになった。インド太平洋地域において米中競争が国際関係の一つの構図として出来上がっている」

 ―沖縄への影響は。

 「米中の対立で、軍事的な衝突の可能性があるとすれば、台湾問題だ。危機にならないよう対応はするが、バイデン政権はできるだけ軍事力を増強し米軍の効率的な運用を探るだろう。これは、基地負担を軽減したい沖縄県民にとって、米中対立の中で厳しい状況だ」

 「辺野古移設についても、安倍政権や菅政権が辺野古への新基地建設を進めると、米国にはっきり言っている。米国側からノーとは言わない。だが、辺野古移設計画には問題があり、完成しても軍事的には不十分な施設であるとの見解が米国内にもある。代替案が表に出ないから、欠点があってもやらなければならないとなっている」

 ―今後の安全保障や沖縄問題に関する動きは。

 「地域の軍事バランスがかなり変わり、第1列島線の中で中国の軍事力が増し米国が対抗する兵力を置くことが非常に難しくなってきた。沖縄に米軍施設を集中させることはまずいという考えが、結構出てきている。米国の空軍、陸軍、海軍、海兵隊は新しい作戦構想を提案し、海兵隊からはEABO(遠征前方基地作戦)を出している」

 「日米間で兵力構成を見直す協議を始めなければいけなくなると考える。ブッシュ政権時に米軍再編があった。中国の軍事力増強で包括的な軍事力のレビュー(再検討)が必要だ。協議の中で沖縄の基地負担軽減の可能性が出てくるのではないか。しかし、代わりに日本が日米同盟に貢献するという動きを見せないといけなくなる。戦略的に、対話から辺野古移設を修正することが一番、合理的である」

 (聞き手・問山栄恵)