伝統サバニ完成間近 90歳祖父と44歳孫が制作 南城・奥武島


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サバニに竹くぎを打ち込む嶺井尚人さん=16日、南城市玉城奥武

 【南城】沖縄県南城市玉城奥武島の嶺井藤一さん(90)と孫の尚人さん(44)が2人で造る、奥武島に伝わる漁業用のサバニが完成間近となっている。

 沖縄美ら島財団による県内各地のサバニの特徴や造船技術に関する調査の一環として、サバニ造りは昨年9月28日から始まった。奥武島の作業場に当初並んでいた、二つの大きな材木は、取材した16日には滑らかな曲線を描くサバニの姿へと様変わりしていた。

 同日、木の香りが漂う作業場では尚人さんが仕上げの工程に取り掛かっていた。サバニの舷側部分の板を固定するために、板と板のつなぎ目には木製のくさび「フンドゥー」や竹くぎを入れる。尚人さんは、腐敗を防ぐために一つ一つサバアンダー(サメの脂)を塗った竹くぎを打ち込んだ。

 尚人さんは完成が間近に迫り「長く感じた」と笑う。「舷側板を曲げる時に割れてしまうトラブルもあり、心配もあったが何とか形にすることができた。完成する最後まで頑張りたい」と気を引き締めた。

 サバニは2月には完成し、海に浮かべる進水式を実施する予定。
 (金城実倫)