[日曜の風・室井佑月氏]反省しない政治 批判、監視を止めない


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
室井佑月 作家

 自民党の二階俊博幹事長が19日のNHKの番組に出演し、インタビュアーに「(新型コロナウイルスで)政府の対応は十分か。さらに手を打つなら何が必要か」と聞かれ、「他の政党に何ができますか。他の政治家が何ができますか。今、全力を尽くしてやってるんじゃないですか。いちいちそんな、ケチをつけるもんじゃないですよ」と逆ギレした。

 びっくりだ。政府のコロナ対策が上手(うま)くいってないのは事実。上手くいっていないどころか、「GO TOキャンペーン」を無理やり決行し、感染を広めることまでした。ちなみに「GO TO」事業で大きく税金が流れた企業や団体は、二階幹事長や菅義偉総理と仲良しだ。

 そして、彼らがそんなことをしている間に、日本は今の状況となってしまった。緊急事態宣言の対象となるステージ4(爆発的感染拡大)に達したのは、18都府県で、重症者用も考慮すると19都府県。感染率が非常に高いといわれている変異種もこの国に入ってきて、しかも、もうそれは追跡不可能っぽい。

 18日、国会での、菅総理の施政方針演説も、二階幹事長の質問も、反省している様子はまるでなかった。馬鹿(ばか)みたいに東京五輪開催にこだわって、反省するどころか自慢めいたことまでいっていた。彼らの頭の中は、どうなっているのか? 国の非常時にも、自分の選挙と利権のことしかないのか?

 二階幹事長は他の政党や政治家に何ができるか、といっていたけど、ここまで害悪であるならば、任期が終わるまで、バッチをつけているだけでいっそ何もしないでいてくれたほうがいいのではないかとさえ思った。

 そのほうが、今まで頭を押さえつけられていた出来る人たちが動き出せるのじゃないか?

 そしてあたしたちは、政治家に対する批判を止めてはいけない。そう、ケチをつけるんじゃなく、批判だ。見張っていないと、何をされるかわかったもんじゃない。批判と監視が、悪さをしないよう政治家を縛る鎖となる。

(室井佑月、作家)