コロナ県民アンケート 数字で見えぬ「厳しさ」深刻 期限設けずに支援を 沖縄大学が提言


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沖縄大学(資料写真)

 新型コロナウイルス感染症流行後の生活の変化を聞くため、琉球新報はおきなわこども未来ランチサポート(実施主体・琉球新報社、おとなワンサード、日本郵便沖縄支社)と2020年12月にインターネット上でアンケートを実施した。

 雇用調整助成金、持続化給付金、低額融資など、政府の「つぶさない助成金」により、形式上は倒産せず解雇もされていないが、低収入で家賃など固定費の支払いに苦しむ厳しい状況がアンケート結果から表れている。

 勤務時間の減少だけでなく、在宅勤務で通勤手当が支給されず実質的な減収となっている場合がある。在宅時の通信費などの手当を支給する企業も少ない。また離職後、転職も諦めて労働市場から消えた労働者も多いのではないか。

 心の状態を表す指標で気分障害や不安障害に相当する心理的苦痛を感じている人は国の目標値(9・4%)よりかなり多く、より厳しい状態にある人が多く回答したと考えられる。

 いずれにせよコロナ禍の長期化で県民には不安定な就労や感染への懸念、先が見えない不安と危機感が広がっているだろう。その日の食料確保にも窮する家庭があることは大きな問題であり、危機が去るまで生活を継続できるよう期限を設けない支援制度が必須だ。

 

 (調査協力・沖縄大学地域研究所島村聡所長、山野良一副所長、島袋隆志副所長)


調査の方法

 調査は2020年12月2~13日、コロナ前と比較した所得や勤務時間の変化、生活上の困りごとや必要なもの、心理状態などをインターネット上のアンケートフォームで答えてもらった。琉球新報の記事や公式SNSで広く回答を呼び掛けたほか、食料支援を行う「おきなわ子ども未来ランチサポート」の食材配布時などに利用者に回答を呼び掛けた。県内からの有効回答は226件だった。


主な質問項目

■新型コロナウイルス感染症の影響が出る前、あなたの1カ月の手取り所得額はいくらでしたか。

■新型コロナウイルス感染症の流行前に比べて、あなたの1カ月の手取りの所得額は変わりましたか。

■新型コロナウイルス感染症の影響で、あなたの働く日数や時間は変わりましたか。

■あなたやあなたの家族は今、どのようなことに困っていますか。

■あなたやあなたの家族にとって、今とても必要なものは何ですか。

■あなたの心の状態について、過去30日の間にどれくらいの頻度で次のことがありましたか。▽神経過敏に感じた▽絶望的だと感じた―など。

■新型コロナ流行後、ランチサポートなどの食料支援を利用したことがありますか。