【記者解説】コロナ困窮深刻化、産業や社会の在り方模索を 県民アンケート


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 新型コロナウイルス感染症流行後の生活の変化を聞くため、琉球新報はおきなわこども未来ランチサポート(実施主体・琉球新報社、おとなワンサード、日本郵便沖縄支社)と2020年12月にインターネット上でアンケートを実施した。

 昨年5月に実施した同様の調査でも、所得が半減した人が3割に上るなどの結果が出ていた。回答数が大きく異なるため単純比較はできないが、観光客が戻らず、従来通りの経済活動ができない中、これまでにない厳しい状況が続いていることは確かだろう。

 今回の調査でも所得をコロナ前の8割以上維持できているのは半数だ。コロナ前から所得が低い県内では少しでも所得が減少すればぎりぎりだった生活は回らなくなる。6割もの人が「個人への給付金」が必要と訴え、先の見えない状況が続く中、深刻な心理状態を示す人は半数に上った。

 国が行う個人向けの緊急貸し付けは、受け付けがたびたび延長され、県内でも多くの人が生活をつないだ。コロナの収束が見えない現状では継続は不可欠だが、貸し付けでの生活はいつまでも続かない。コロナ禍が始まり、間もなく1年。未来への展望を描ける産業や地域社会の在り方を模索する時期だ。

 (黒田華)


調査の方法

 調査は2020年12月2~13日、コロナ前と比較した所得や勤務時間の変化、生活上の困りごとや必要なもの、心理状態などをインターネット上のアンケートフォームで答えてもらった。琉球新報の記事や公式SNSで広く回答を呼び掛けたほか、食料支援を行う「おきなわ子ども未来ランチサポート」の食材配布時などに利用者に回答を呼び掛けた。県内からの有効回答は226件だった。


主な質問項目

■新型コロナウイルス感染症の影響が出る前、あなたの1カ月の手取り所得額はいくらでしたか。

■新型コロナウイルス感染症の流行前に比べて、あなたの1カ月の手取りの所得額は変わりましたか。

■新型コロナウイルス感染症の影響で、あなたの働く日数や時間は変わりましたか。

■あなたやあなたの家族は今、どのようなことに困っていますか。

■あなたやあなたの家族にとって、今とても必要なものは何ですか。

■あなたの心の状態について、過去30日の間にどれくらいの頻度で次のことがありましたか。▽神経過敏に感じた▽絶望的だと感じた―など。

■新型コロナ流行後、ランチサポートなどの食料支援を利用したことがありますか。