感染者へ聞き取り、専用の外来診察 コロナ重症化を防ぐ北部地域独自の医療体制とは?


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新型コロナウイルス陽性者などの受け入れ体制について、スタッフと確認する永田恵蔵医師(左)。通路には感染拡大防止用のビニールカーテンが張り巡らされている=22日、名護市の県立北部病院(写真は一部加工しています)

 【北部】新型コロナウイルス感染者の重症化を防ぐため、県立北部病院と北部地区医師会病院、北部保健所が連携を強化している。医師が感染者へ体調などを電話で聞き取るほか、外来診察を独自に実施している。糖尿病など重症化リスクのある疾患を早期発見し、感染者を適切な療養先に振り分けることを目的とする。医師らは「医療現場の負担軽減にもつながっている」と強調する。

 新型コロナの感染が確認された場合は一般的に、保健所の担当者が電話で症状などを聞き取り、ホテル・自宅療養や入院先の医療機関に振り分ける。北部地域では昨年5月から、感染者への聞き取りを医師が担当する。北部病院と北部地区医師会病院の医師が感染者の体調や基礎疾患の有無、重症化リスクのある病気を持った家族がいないかなどを電話で確認する。重症化リスクのある家族がいる場合は、感染者と隔離できる状況か相談し、難しい場合は家庭内での感染予防方法を指導する。

 電話による聞き取りを受けた後、感染者は全員、専用の外来診察に案内される。看護師が呼吸数や酸素飽和度、血圧、脈拍、体重などを確認し、医師が直接、診察する。40代以上で健康診断未受診の人には、状態が良好でも血液検査を行う。北部病院の永田恵蔵医師(38)は「診察室までの道のりで息を切らす人、会話中に呼吸数が上昇する人などを注視している」と言い、容体の変化を見逃さないようにする。

 聞き取りや外来診察で重症化リスクがあると判断された感染者は、入院に向けて調整する。各病院が感染者の状況を把握して適切な対応ができれば、容体の急変による緊急搬送などを減らすことができ、医療現場の負担も軽減できる。医師が入院の必要がないと判断した場合は自宅療養などをして、病床の圧迫を防ぐこともできる。北部病院の久貝忠男院長(61)は「正確なデータがあるわけではないが、効果が出ていると信じている」と語る。永田医師は「患者を守り、医療体制を守るためにも、継続して取り組みたい」と力を込めた。

  (喜屋武研伍)