【識者談話】辺野古陸自常駐「否定し続け計画進行」今回も可能性 佐道明広・中京大教授


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佐道 明広氏

 共同使用は軍同士の連携を深め、陸上自衛隊の水陸機動団の整備を促進する狙いがある。水陸機動団は離島防衛を目的に編成されたが、沖縄に拠点はなかった。拠点ができることで、その役割が明確になり米海兵隊との関係もより強化されるし、石垣や宮古の基地整備の関係からも沖縄本島に拠点があるのは陸自にとってもありがたい。

 名護市辺野古の新基地建設を進める政府にとっては、陸自と米海兵隊が共に活動する拠点を確保するということで、膨大な費用や工期について説明がしやすくなる。

 米海兵隊では新戦略に基づき、大幅な人員削減や配置転換も含めた再編計画の検討が進む。それを前提に、陸自内部でも水陸機動団の整備を進めていかないといけないという議論が行われていると考えられる。

 日米共同使用については以前から、さまざま形で疑問が出ていた。今回の水陸機動団の件について、防衛官僚が何も知らないことはないと思う。政府は共同使用の計画を否定しているが、ある政府高官は「そのような考え方は今は持っていない」と語ったという。いずれ、何らかの形で準備を進めるだろう。安倍前内閣から政府は沖縄の問題について何も説明せずに計画を進めることが常態化している。計画を否定し続け、何も説明しないままに計画を進める可能性はかなり高い。

 沖縄との関係悪化も懸念はしていると思う。宮古島市長選で負け、今後も自治体で選挙が続く。それもにらんで当分の間は、「知らぬ存ぜぬ」の態度を貫くだろう。一段落したころに、本格化する可能性があるのではないか。
 (政治学)