「所持金0円」「安いものばかりで栄養心配」切実な声<新型コロナ県民生活調査詳報>2


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<所得別比較>「10万円未満」29%利用

 食料支援を利用したことがあると答えた人の割合は、コロナ前の所得が少ない人ほど多かった。1カ月の所得が「10万円未満」では、食糧支援を利用したことがある人は29.5%となり、所得別で比較して最多だった。食料支援の利用経験者は所得が上がるに伴い、減少した。

 「利用したことはないが利用したい」とした人は1カ月の所得が「15~20万円」で28.3%、「20~25万円」で24.1%となり、一定以上の所得があっても家族構成などによって支援を希望とする人がいるとみられる。

 所得35万円以上では、「食料支援は必要ない」の回答が100%になった。

 


<自由記述>「食費足りない」「所持金0円」… 栄養偏り、懸念の声も

 食に関する自由記述には80件以上の声が寄せられた。「食費が足りない」「食材が高い」とする声が多く、所得がコロナ前の「半分くらいになった」とした非正規の50代女性は「お米が底を突く。所持金0円」と記した。「1割以下になった」とした女性は「食費を抑えており子どもの栄養が足りているか不安」とし、食料支援の利用を希望した。

支援のための食品を箱詰めする関係者ら=2020年12月、那覇市東町の日本郵便沖縄支社

 栄養の偏りを懸念する声も多かった。正規職で子ども2人がいる女性は「子どもにバランスよく食べさせたいが安い物ばかり買っている。野菜、果物などは与えられない」と打ち明けた。学生の20代女性は「乳製品が高く、ほとんど取れない」とした。

 感染予防のため外食に行きづらくなり「家事労働の負担がストレス」(50代女性)、「外食がいかに生活を豊かにしてくれていたかを感じる」(20代)といった声もあった。買い物も「神経を使う。行く回数が減った」(40代女性)、「頻繁に行けないので物品支給がありがたい」(40代女性)との声もあった。

 一方で、食料支援を「利用したいが、情報の探し方が分からない」とした人もいた。非正規で働く20代男性は「コロナ前から賃金が低すぎて満足に食事ができない」と生活困窮問題の根深さを指摘した。


2020年12月2~13日、インターネット上のアンケートフォームを利用し、琉球新報の記事や公式SNSで呼び掛けたほか、「おきなわこども未来ランチサポート」の食材配布時などにアンケートへの回答協力を呼び掛けた。有効回答は226件だった。コロナ前後を比較した所得や勤務時間の変化、生活上の困りごとや必需品、心理状態のほか、食料支援の利用状況や希望する利用頻度などを質問した。

主な質問項目

 ■新型コロナウイルス感染症の影響が出る前、あなたの1カ月の手取り所得額はいくらでしたか。
 ■新型コロナウイルス感染症の流行前に比べて、あなたの1カ月の手取りの所得額は変わりましたか。
 ■新型コロナウイルス感染症の影響で、あなたの働く日数や時間は変わりましたか。
 ■あなたやあなたの家族は今、どのようなことに困っていますか。
 ■あなたやあなたの家族にとって、今とても必要なものは何ですか。
 ■あなたの心の状態について、過去30日の間にどれくらいの頻度で次のことがありましたか。▽神経過敏に感じた▽絶望的だと感じた―など。
 ■新型コロナ流行後、ランチサポートなどの食料支援を利用したことがありますか。

日常的な食料不足が浮き彫り 支援希望は「主食」最多<新型コロナ県民生活調査詳報>1