コロナで活動制限、窓全開で練習も前向きに「大会出たい」「楽しさ伝えたい」 首里高かるた同好会


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感染症対策を徹底しながら練習に励む首里高校かるた同好会のメンバー=18日、那覇市首里金城町の養秀会館

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、県内高校生の活動制限が再び強化されている。大会や講習会など上達の機会が消え、悔しい思いを重ねながらも、感染症対策を徹底して練習してきた首里高校かるた同好会は、平日の活動は1時間に短縮、休日は活動停止になった。メンバーは「収束したら、大会に出たい」と声をそろえて願った。

 同好会が活動するのは、学校近くの同窓会館「養秀会館」の一室。換気のために窓もドアも開けっ放しで練習する。読み手の声に耳を澄まさなければならない競技だが、室内には弓道部や吹奏楽部の練習音が響く。「逆に集中力がつく」と、メンバーは前向きだ。

 一斉臨時休校や分散登校時は部活動も制限された。一切練習ができなくなった時には、百人一首を覚えたり、トップ選手の動画を見たりして備えた。「あとは実戦を積めば強くなれる」という段階で大会の中止が相次いだ。今月は福岡からトップ選手を招いて講習会を開く予定だったが、国の緊急事態宣言に福岡が含まれ、直前で中止になった。

 3年生は目標としていた全国大会に参加できず、引退した。同好会は昨年度発足したばかり。2年生にとって、3年生は単なる先輩ではなく、一緒に同好会を立ち上げた同志だった。

 「3年生は大会に出られなくても明るくて、1年生の勧誘も手伝ってくれた。無理していたわけじゃないと思うけど、いつも通りだったのが悲しくて」。副部長兼主将の本部桜花さん(16)=2年=は今、3年生を送る会を開くことが目標だ。

 2年生も、引退まであと半年となった。部長の大城結花さん(17)は「有段者の輩出」を目標に掲げる。段位を得るためには、全国大会で3位以内に入る必要がある。この目標にもコロナの壁が見え隠れする。

 沖縄はまだ、かるた人口が少なく、発展途上だ。同好会メンバーは、自身の競技力向上だけでなく、かるた普及に対する思いも強い。昨年はボランティアで子どもたちにかるたを教えた。メンバーは「かるたの楽しさをもっと伝えたい」と語った。
 (稲福政俊)