浦添市長選 立候補予定者に聞く


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 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設の是非などを争点に、浦添市長選が2月7日、投開票される。3期目を目指す現職の松本哲治氏(53)=無所属、自民、公明推薦=と、市議で新人の伊礼悠記氏(38)=無所属=が立候補を表明しており、一騎打ちとなる見通しだ。立候補予定者の両氏に訴えたい政策などについて聞いた。

(浦添市長選取材班)


松本哲治氏 西海岸開発に海生かす

記者の質問に答える松本哲治氏=26日、浦添市伊祖の選挙事務所

Q.出馬を決めた理由は。

 「1期目は少し問題があったが、2期目は公約の予定通りに進んできた。例えば、待機児童は4年間でかなり減った。2期8年で終われなかった課題や新しい時代に対応していきたい」

Q.最も訴えたい政策は。

 「今後は浦添市の風土や価値観を形成する政策に取り組みたい。例えば、自分と違う人を受け入れる多様性社会をつくりたい。コロナ対策では、スムーズにワクチン接種をする体制を整える。日常を取り戻すため、経済対策も果敢に打っていく」

Q.那覇軍港の浦添移設の是非は。

 「軍港を欲しいと思う市民はいない。だが浦添市だけで決められない問題でもある。(那覇港浦添ふ頭地区北側に移設するという)知事や那覇市長との3者合意をベースに引き続き協議する。知事が先行返還という新しい考えを持っているようなので再確認したい。那覇港(民港)の整備はこれ以上、足踏みできない。浦添市にとって苦渋の決断だが、みんなで前に進む」

Q.キャンプ・キンザーの跡地利用を含めた西海岸開発の手法は。

 「海を生かして、埋め立て面積を可能な限り小さくしつつ、キンザー跡地と一体的に開発したい。キンザー跡地では国家プロジェクトとして、デジタル技術や自動運転など、規制緩和や特区も含め、新しい試みをやっていきたい」

Q.西海岸以外の街づくりで取り組みたいことは。
 「区画整理をして市内東部の街づくりを進める。(モノレールがあり)交通の要所にもなる。(政策に掲げる『環境未来都市』については)低炭素社会の実現に向けて市民に電気自動車を勧めるなど、環境に配慮した街を形成したい」

Q.玉城県政への評価は。

 「知事は対話を重視すると言っている。西海岸や軍港も含め、対話を通して一緒に課題を解決したい。SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ、彼の思想は私も共有できる。軍港問題だけは意見が違ったが、全体のために北側案をのんだ。玉城県政との大きなずれは感じていない」

Q.菅政権への評価は。

 「東京五輪についてもコロナ対策も悩みながらやっていると思うので、私が今、具体的な評価を出す立場ではない。自民党と公明党の推薦を受けているから政権に物を申せない、ということはない。特に浦添に関することは言っていく」


伊礼悠記氏 民意は軍港に反対示す

記者の質問に答える伊礼悠記氏=26日、浦添市仲間の選挙事務所

Q.出馬を決めた理由は。

 「多くの市民や政党から要請を受け、『市民党』として今の市政を変えなければならないと思い、決意した。公約を破ることは許されない。今、政治不信が広がっている。政治は政治家のためのものではなく市民のためのものであるべきだ。市議になる前、看護師として働いていた。命と向き合ってきた経験からも命を守る政治を実現したい」

Q.最も訴えたい政策は。

 「軍港建設をストップさせる。同時にコロナ対策にも力を入れる。営業時間の短縮に協力した事業者に対して那覇市のように市独自の協力金として12万円を助成したい。さらに18歳以下の子どもを持つ世帯に1人1万円を支給することを考えている」

Q.財源は確保できるか。

 「浦添市の財政調整基金は16億7千万円あり、市の財政規模で十分に賄える。浦添市の財源を使いつつ、国にもしっかり臨時交付金などを求めていく必要がある」

Q.那覇軍港の浦添移設の是非は。

 「西海岸は市民、県民の財産だ。その海を埋め立てて、米軍のための軍港を造ることは許されない。遊休化している那覇軍港は無条件で返すべきだ」

Q.知事や那覇市長は移設容認の立場だ。

 「過去の市長選は軍港問題が大きな争点にならなかった。今回は軍港問題がコロナ対策と同時に争点化されている。私が勝利することで、市民の民意は軍港反対だということを突き付けることができる」

Q.キャンプ・キンザーの跡地利用を含めた西海岸開発の手法をどう考えるか。

 「西海岸開発の計画はキンザーの返還が決まる前のものだ。市民や地元業者と話し合い、グランドデザインを描くことが先だ。県の試算ではキンザー跡地利用の直接経済効果は約2600億円、雇用創出は約2万5千人だ。民間調査では1兆円近い経済効果が出るとの試算もある」

Q.玉城県政の評価は。

 「翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、保革を超えて新しい時代を切り開いている。首里城火災、豚熱、コロナ対応など難題が続くが、県民の立場で取り組んでいる」

Q.菅政権の評価は。

 「コロナ対策は後手に回っている。経済対策に比重が傾いており、全て中途半端になっている。辺野古新基地建設、那覇軍港移設についても国民に背を向けている政権だ」