浦添の未来、2氏論戦 立候補予定者討論会


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公開討論会後、撮影に応じる(左から)新人の伊礼悠記氏、現職の松本哲治氏=27日夜、浦添市社会福祉センター

 31日告示、2月7日投開票の浦添市長選に向け、浦添青年会議所は1月27日、立候補を予定する現職の松本哲治氏(53)=無所属、自民、公明推薦=と、市議で新人の伊礼悠記氏(38)=無所属=を招き、浦添市社会福祉センターで討論会を開いた。両氏は那覇軍港の浦添移設問題やコロナ対策などを巡り議論を交わした。
(敬称略) 

 

軍港移設

民港縮小し海守る 松本氏 
無条件返還求める 伊礼氏

 松本 一生懸命やってきたが、浦添市だけでは決められない。軍港はいらないと訴えてきたが、ままならなかった。軍港がほしいと思う市民はいない。だからこそあのきれいな海を生かした西海岸の在り方を那覇港管理組合に訴えている。古い計画は見直さないといけない。しかし那覇港管理組合は軍港の倍以上の100ヘクタール以上を埋め立てる予定だ。軍港を阻止できなくても、私たちが手掛ける民港部分を小さくし、海を守る。組合と見直し協議を進め、新しい時代に合った西海岸計画を作っていく。

 伊礼 市長は公約を破った。日米両政府を代弁する市長ではないか。遊休化している那覇軍港は無条件で返還しなければならない。日米両政府という権力者によって海が埋め立てられ、軍港が造られる状況を変えていかなければならない。米軍基地は経済発展の最大の阻害要因だ。軍港がサンエー浦添西海岸パルコシティ前に造られると、返還が決まっているキャンプ・キンザーの跡地利用に支障を来し、跡地の利用価値を下げる。地主からも懸念が寄せられている。軍港建設を許してはならない。

 

西海岸

古い計画新しく 松本氏
市民に決定権を 伊礼氏
 

 松本 あのきれいな海を守っていくために、軍港は譲ったとしても、どうやってイノーを守り、埋め立て面積を小さくし、キャンプ・キンザー跡地と一体的に時代のニーズに合ったものにするかが課題だ。古い計画は新しいものに変えていかなければならない。私たちは民港部分の変更を求めているところだ。海を守るため私たちの思いはしっかり伝える。

 伊礼 西海岸開発計画はキンザー返還が決まる前に進められた計画だ。返還が決まり前提が変わっている。海を埋め立てると取り戻すことはできない。跡地利用は国家プロジェクトではなく、市民、地権者、地元業者と共に夢が広がるグランドデザインを描くことが重要だ。広大な埋め立てを前提とした跡地利用には賛成しない。カジノ誘致はもってのほかだ。

 

コロナ対策

命救う検査拡充 松本氏
給付で生活守る 伊礼氏
 

 松本 まずは命と健康を守るため、どうやって効果的にPCR検査を拡充していくべきかを調べて進める。春に予定されるワクチン接種をスムーズに進める。緊急事態宣言が終了した段階で経済政策をどんどん打っていく必要がある。直接の現金給付もやりつつ、プレミアム付き商品券など、その他の方法も駆使する。一番影響を受けている人たちにとって最も恩恵がある仕組みを考える。

 伊礼 不安定な働き方のために何かがあったら暮らしが成り立たないという、政治がつくり出した社会構造がある。市民の皆さんの暮らしを守る立場で進める。「今、現金給付が必要だ」と言う多くの方がいる。18歳以下に1人当たり1万円の現金を給付する。営業時間の短縮について協力した事業者に12万円の協力金を支給する。PCR検査拡充をしていくことで感染拡大と医療崩壊を防ぐ。

 

クロス討論

Q軍港移設阻止の具体的方法は? 伊礼氏 反対を前提に協議

 松本 県知事も那覇市長も、市長選でどんな結果が出ても軍港移設は進めると明言している。軍港移設阻止の具体的な方法は。

 伊礼 市民の望んでいないものについては一貫して反対し続けることが大変重要だ。3者協議でも移設協議会でも、市民の民意が軍港建設を許さないという立場であることを話していく。これらは公的な協議であり、これを具体的でないと言うなら市長のこれまでの活動を自ら否定せざるを得なくなる。新たな基地、軍港建設を許さないという立場をしっかり主張していくことが具体的な方法だと思っている。
 同時にどういう軍港が浦添に造られようとしているのか、具体的に確認していく。例えば鹿児島県西之表市は(自衛隊基地建設について)防衛省に質問状を出している。沖縄の米軍基地の在り方についても協議できる枠組みを作っていく。

 

Qなぜ公約破り移設容認したか? 松本氏 市益最大化のため

 伊礼 なぜ公約を破ってまで、浦添市の経済発展のマイナスになる軍港移設を容認したのか。市民の利益を優先すべきではないのか。

 松本 県や那覇市、国から、県全体の発展のためにも、浦添市に移設してほしいとお願いをされた。軍港移設を望む市民などいない。できれば軍港移設阻止を実現したかった。しかし現実には那覇軍港の返還跡地計画は進んでいる。このまま移設反対と主張して分断するわけにはいかない。苦しい選択ではあるが、浦添に移設することで那覇軍港は返還され、県の発展につながる。その中で市益の最大化を図っていきたい。
 一方で県政与党がなぜ軍港移設を断念するように働き掛けてくれなかったのか、非常に謎だ。苦しい状況の中でも枠組みの中でも市益を最大化するために何ができるのかと難しい現実の中で考えていかなければならない。