25年にわたる懸案、容認と反対鮮明に 那覇軍港移設・西海岸開発<争点・浦添市長選>上


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那覇軍港の移設予定地=2020年8月15日、浦添市西洲(小型無人機で撮影)

 2月7日に投開票が行われる浦添市長選には現職の松本哲治氏(53)=無所属、自民、公明推薦=と新人で浦添市議の伊礼悠記氏(37)=無所属=が立候補を表明している。選挙の争点を3回にわたり探る。 

 那覇軍港の浦添市移設は、25年にわたり市の懸案となってきた。2020年8月、浦添市が県と那覇市が堅持していた現行計画の北側案を受け入れ、日米合意に沿った移設計画に松本哲治浦添市長、玉城デニー知事、城間幹子那覇市長の三者が合意した。

 ただ、松本氏は1期目の選挙で「反対」、2期目の選挙で浦添市策定の「南側案」を掲げて当選したにもかかわらず、公約を覆して「北側案」の現行計画を受け入れたことで、今回の市長選でも争点の一つになっている。公約を巡る姿勢や、港湾施設を含む西海岸開発の在り方などが問われる。

 日米両政府は1995年5月の合同委員会で、浦添ふ頭地区内移設を条件に軍港を全面返還することに合意。96年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告でも浦添ふ頭地区への移設を確認した。

 浦添市は2001年、儀間光男市長(当時)が受け入れを表明。03年に那覇港湾移設協議会で防衛施設庁(当時)から位置と形状の案が示され、県と那覇市、浦添市の三者が了承した。

 現行計画は10年に策定されたが、13年2月の市長選で三つどもえの闘いとなり、軍港移設に反対し「ゼロベースで見直す」と訴えた松本哲治氏が初当選を果たした。だが松本氏は15年4月、公約を撤回し浦添市独自の「南側案」を提起した上で、軍港を受け入れる考えを表明した。

 現行計画を見直すために移設協議会に南側案を提案した浦添市は(1)民港部分と那覇軍港代替施設の併設(2)サンセットを望む西向きの人工ビーチ(3)北側のクルーズ船岸壁の設置―などを求めた。政府にも浦添案の実現を働き掛けたが、「地元合意」の条件を満たせず、決裂を避けるため県と那覇市が推す「北側案」の現行計画を受け入れ、振り出しに戻った。

 軍港について松本氏は「三者合意をベースに県知事、那覇市長と再協議する」としている。伊礼氏は「知事、那覇市長に働き掛け、浦添移設を止める」としている。
 西海岸開発で伊礼氏は「市民参加・市民本位で持続可能な跡地利用を図る」とする。松本氏は「キンザー跡地を日本最先端のデジタルシティへ」と掲げる。