沖縄の在来種「地大豆」うるまで復活へ 4農家が生産 生産者増へ人材育成に力


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島大豆の収穫を喜ぶ(左から)高江洲義和さん、仲里正さん、朝倉輪子さん=19日、うるま市天願

 【中部】かつて、主要な農作物の一つとして県内各地で栽培されていた沖縄の在来種「地大豆(島大豆)」を復活させようと、うるま市の生産者が栽培に力を入れている。4農家が昨年10月から本格的に栽培を始め、今年1月に初めての収穫を迎えた。今後は生産者を増やすため、人材育成に取り組んでいく考えだ。加工品製造や飲食店などへの流通も見据え、地大豆の安定供給を目指している。

 地大豆は、外国産の大豆よりも粒が小さいのが特徴という。琉球大学の諏訪竜一准教授らの調査では、外国産と比べてタンパク質などの栄養素の含有量が多い傾向があった。県内では1950年代までイネやサトウキビ、イモなどと同様に主要作物だったが、安価な輸入大豆が台頭したことで、現在では一部の農家や自家栽培の規模に縮小している。諏訪准教授は「一時は途絶えてしまったが、小規模でも種子や栽培方法を伝承することで、生産基盤の構築につながる」と期待する。

 うるま市の農家・仲里正さん(73)は約4年前から、地大豆の自家増殖に取り組んでいる。当初一握りほどだった地大豆は、昨年2月には約30キロまで増えた。市内の3農家に分け、昨年10月に畑に植えた。天候の影響などで初回の収穫量は約50キロにとどまったが、6月の収穫は100キロを見込む。無農薬栽培にこだわり、収穫や脱穀作業なども協力して行っている。仲里さんは「興味がある人に栽培方法を教え、県内全域に広めたい。沖縄の食文化を守るためにも島大豆を復活させたい」と話す。

 「コトリ農園」の朝倉輪子さんは、退職を機に農業に足を踏み入れ、子育てと両立しながら地大豆の栽培に携わる。「自家製みそを作り、良さを知った上で製品化したい」と話し、加工品の生産に意欲を見せた。1月に収穫した地大豆は那覇市松尾のオーガニックレストラン「浮島ガーデン」に納品し、料理や加工品として提供する予定だ。