高校進学率、生活保護世帯で低迷 沖縄県平均と7ポイントの落差 全国平均にも届かず


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 生活保護世帯の子どもの高校進学率が、全体の進学率より低い状態が続いていることが28日、県のまとめで分かった。2019年3月の卒業者全体の高校進学率が97.5%だったのに対し、生活保護世帯は90.5%で、格差は7ポイントだった。15~18年は生活保護世帯が全体より9.2~11.9ポイント低かった。全国の格差は5ポイント程度で推移しており、沖縄は格差が大きい。県議会新沖縄振興.公共交通ネットワーク特別委員会で、仲村未央氏(沖縄・平和)が取り上げた。

 県のまとめによると、生活保護世帯の高校進学率は15年87.4%、16年85.8%、17年85.2%、18年87%で、5年間で3.1ポイント上昇した。全体は0.9ポイントの上昇で、格差は縮小傾向にある。

 一方、全国平均の高校進学率は19年が99.0%、生活保護世帯が94.0%だった。県内の進学率は全体、生活保護世帯ともに全国平均に届いていない。

 仲村氏は、生活保護世帯の高校進学率の低さや、中卒.高卒の進路未決定者の割合が全国一高いことを挙げ「これらの子が卒業後、どこに行ったか(県のどの部署も)とらえられていない。支援に結びつかない子が相当いる」と指摘。「貧困の世代間連鎖を断ち切るための制度提言が必要だ」と述べた。

 高校進学率に格差があることについて、沖縄大学の山野良一教授は、市町村によって支援に濃淡がある可能性を指摘。「親の自立支援も大事だが、次の世代に貧困が連鎖しないように意識してケースワークをしないといけない」と話した。