タブレッドでスライド作成、課題提出…ICT活用が進む沖縄の学校の取り組み


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タブレット端末を使って問題を解く児童ら=2020年11月16日、うるま市栄野比の沖縄アミークスインターナショナル

 国は2023年度までに公立小中学校に通う児童生徒に1人1台、パソコンやタブレット端末を整備する「GIGAスクール構想」を進めている。県内で先進的にICT(情報通信技術)教育に取り組む学校では、すでにタブレット端末などを活用した授業を展開している。

 うるま市栄野比の沖縄アミークスインターナショナルは約6年前から小学校でタブレット端末、中学校でパソコンを使い授業に取り組む。小学校にはタブレット端末約90台を整備する。児童らは端末でスライドを作成したり、端末内のアプリ「ロイロノート」を使って課題などを提出したりしている。

 国語の授業では教科書の文章を五つに分割し、元の文章に並べ替える問題に取り組んだ。教員が児童らの端末に問題を配布すると、慣れた様子で端末を操作し、答えを導き出した。児童らは「簡単だよ」「終わった。次の問題を解いてもいい?」と話していた。授業の終盤、回答を端末で提出するように教員が指導していた。

 小学5年生担任の上江洲ジョアナかおる教諭によると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校措置をきっかけに、端末を利用する機会が増えたという。オンライン授業を取り入れたことから「(端末などを使い)正しい情報を取る力を養う大切さに、あらためて気付いた」と話した。

 南城市玉城富里のオキナワインターナショナルスクールは約8年前から、小学校でタブレット端末、中学校でパソコンを1人1台、整備している。小学校の授業では教科書ではなく端末を使う。アメリカ大統領選挙など社会で起きている事象をインターネットなどで調べ、スライドを作成して発表する。

 高校の社会の授業では市民権や税などをテーマに、生徒らがパソコンを使って情報を集め、ディベートを実施。ディベートの様子を動画で撮影し、視聴することで発表方法や発言内容を改善した。パソコンを使った授業を受けることで、生徒らは「考える力や情報を見極める力が身に付いてきた」と話している。

 知念正人校長は端末を使った授業を導入した当初、保護者から反対するとの意見が出たことを明かす。知念校長は端末の使い方を学ぶことも教育の一環になると説明する。「ICT教育推進に向けて端末を整備するだけでなく、使用ルールをつくることも必要だ」と強調した。 (吉原玖美子)