SDGs軸に発展 新振計県骨子案 新たに「環境」枠組み


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玉城デニー知事

 県は29日、2022年度からの新たな沖縄振興計画の骨子案を発表した。国連のSDGs(持続可能な開発目標)を軸に、「持続可能な沖縄の発展」「誰一人取り残さない社会」を目指す。施策展開の枠組みに「環境」の視点を新たに加え、経済、社会、環境の総合的な観点で課題解決に取り組む。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済、社会状況を踏まえ、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」を見据えた観光の「量から質」への転換や、DX(デジタルトランスフォーメーション)による離島の不利性克服とビジネスの変革を進める。

 玉城デニー知事は「沖縄らしいSDGsを反映させ、未来を先取りし、日本経済の一端を担うべく、新時代沖縄を展望する計画に取り組む」と述べた。

 県が10年に策定した長期構想「沖縄21世紀ビジョン」で挙げた五つの将来像の実現に向け、33の基本施策を設けた。施策展開の基本方向に、(1)「誰一人取り残すことない優しい社会」の実現(2)「強くしなやかな自立型経済」の構築(3)「持続可能な海洋島しょ圏」の形成―の三つを掲げる。

 脱炭素社会の構築や再生可能エネルギーの導入促進、公共交通システムの再編に取り組むほか、貧困の連鎖を断ち切る社会経済の構築に向け、子どもの貧困対策の強化に加え、大人の引きこもり対策を初めて盛り込んだ。沖縄振興特別措置法に基づく各種措置や沖縄振興開発金融公庫の存続を求めている。

 1972年の復帰以降、課題である県民所得の向上に向け、DXによる生産性の向上や中小企業の経営基盤強化による「稼ぐ力」の向上、水際対策や多様な市場を見据えた観光の推進で「安全・安心の島沖縄」の構築に取り組む。

 29日の県振興推進委員会で骨子案を決定した。県は2月28日まで県民から意見を募る。骨子案は県のホームページや県庁、宮古、八重山の各行政情報コーナーで閲覧できる。