モノレール駅軸に進む東部のまちづくり コロナ禍で不透明感も<争点・浦添市長選>下


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開発途中のてだこ浦西駅周辺=2020年9月、浦添市前田

 2020年7月に市制施行50周年を迎えた浦添市。東西8.4キロ、南北4.6キロの面積に、11万5548人(20年12月末現在)の人口を擁し、那覇市、沖縄市、うるま市に次ぐ県内第4の都市だ。平均年齢は41・6歳で、那覇市のベッドタウンとして働き盛りの世帯が多く住む。

 発展を続ける浦添市の課題の一つに挙げられるのが市東部のまちづくり。その基盤となる公共交通機関の整備拡充が市の長年の課題となっていた。

 19年10月、沖縄都市モノレール(ゆいレール)が浦添延長区間での営業を開始した。それまでの那覇空港駅から首里駅までの15駅に「てだこ浦西」「浦添前田」「経塚」などが加わった。駅周辺には約千台の車両を駐車できるパークライドが整備され、地域経済の活性化への期待も高まる。

 一方、市内には大型ホテルがない。外人住宅を利用した飲食店などが軒を連ねる港川エリアや、浦添城跡など人気の観光スポットはあるものの、宿泊場所が限られているため「素通り観光」が指摘されていた。

 宿泊施設不足を解消するため、市は18年から民泊を推進。そのほか、20年9月には26年夏をめどにてだこ浦西駅の南側に17階建ての都市型リゾートホテルとマンションの開発が決まったことを発表した。だが、当初は駅開通と同時に開業する予定だった大型商業施設の整備の遅れや、新型コロナウイルスの影響で進出予定企業が撤退した事例もあり、開発には不透明感も漂う。

 ただ、新たな玄関口となった、てだこ浦西駅の周辺など市東部に寄せる市民の期待は大きい。市は同駅の開業を見据え、16年に「浦添スマートシティ基盤整備株式会社」を設立。市内での持続的なまちづくり(スマートシティ)を目指す。

 蓄電施設により台風などの災害時にも停電を起こさない防災対応や、フィットネスジム事業者と連携した住民の健康づくりの促進など、環境と健康に特化したまちづくりで、市は未来都市として沖縄をリードする青写真を描く。

 新たな産業振興や雇用の創出、滞在型観光地などを見据えるが、区画整理事業などで市民への十分な説明や合意形成を図れるかなど難しいかじ取りも迫られる。

 まちづくりについて松本哲治氏(53)=無所属、自民、公明推薦=は「区画整理をして市内東部のまちづくりを進める。市民に電気自動車を勧めるなど、環境に配慮した街を形成したい」とした。

 伊礼悠記氏(38)=無所属=は「均衡ある街になるような区画整理事業を進めたい。自然エネルギーの利活用を進め、脱炭素循環型の社会を実現させたい」と話した。