沖縄戦、小学生にどう伝える? 琉大生が南城市の戦禍学ぶ 市史証言から教材作成


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沖縄戦体験者の証言から、小学生に考えさせたい内容を抜き出して発表する学生=1月14日、西原町千原の琉球大学教育学部

 【南城・西原】小学校教諭を目指す教育実践学専修の3年生を対象にした平和教育に関するワークショップが1月14日、琉球大学教育学部であった。南城市教育委員会が3月に刊行予定の「南城市の沖縄戦 証言編」を題材に、小学生にどのように沖縄戦を伝えていくか意見が交わされた。

 ワークショップは山口剛史准教授による講義の一環として、7日と14日に行われ、同書の編さんにあたった南城市教育委員会文化課市史編さん専門員の山城彰子さんと山内優希さん、照屋愛さんがサポートに入った。14日は受講した10人の学生が3グループに分かれ、それぞれ南城市出身の沖縄戦体験者1人の証言記録から小学生に考えさせたい内容を抜き出し、ワークシート形式の教材を作った。山城さんらは証言に出てくる南城の地名や専門的な用語の解説などをした。

 伊藝愛倫(まりん)さん(21)と山城麻尋さん(22)、下地佐季さん(22)は旧大里村稲福の病院壕で看護活動をした女性の証言から、女性が2人の日本兵から言われた言葉を抜粋した。下地さんは「一人の兵隊は安全な場所への避難を促したが、別の兵隊は必ず糸満まで行き、決して捕虜にならず、いざとなったら自ら命を絶てと女性に言った。戦火をさまよった住民の状況や心情を、子どもたちに想像してもらえたらと思った」と語った。

 山口准教授は沖縄戦体験者が減る中で、地域の市町村史を活用した平和教育の重要性を指摘。「教員になる学生たちには、各市町村に価値の高い資料があることや専門家がいることを認識してほしい」と期待した。また「子どもたちにとって沖縄戦は遠い存在だが、地域で起きた沖縄戦の歴史を知ることでより身近に感じることができる」と述べた。