【記者解説】「選挙モード」照屋氏の副知事起用 玉城知事が狙う「オール沖縄」立て直し


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照屋 義実氏

 玉城デニー知事が、富川盛武副知事の後任に照屋義実氏を起用する方針を固めたのは、来年の県知事選に向けた体制強化が狙いだ。昨年6月の県議選では与党が議席を減らし、自民党の躍進を許した。その苦い経験から、県内主要経済団体の要職を歴任し、経済界や保守層に太いパイプを持つ照屋氏を要職に据え、玉城知事を支える「オール沖縄会議」の立て直しを図りたい考えだ。 (座波幸代)

 2018年10月の玉城知事就任後の選挙で、「オール沖縄」勢力が推す候補者は、衆院3区補選と参院選はいずれも勝利したが、県議選では議席を減らし、昨年8、9月の今帰仁村、西原町の首長選挙も敗北した。加えて、呉屋守将金秀グループ会長が同9月末で玉城知事の後援会長を辞任し、翁長県政時代から結束してきた「オール沖縄」の弱体化に危機感が広がっていた。

 その中で、照屋氏は自身も各種選挙の候補に名前が挙がる一方、次期衆院選沖縄4区の候補者の取りまとめや、宮古島市長選挙の勝利にも尽力した。

 一方、新たな沖縄振興計画の策定に向け、富川副知事に「仕上げ」を任せたいという意見もあったが、学識者の富川氏では「選挙や政治に関与できない」(関係者)との声が強く、照屋氏の選挙手腕や経済界などの人脈が買われた。

 照屋氏は県教育委員会委員長や県政策参与を務めた経験はあるが、いずれも非常勤で、県政に深く関与するのは初めてになる。玉城知事の後援会顧問でもあり、今後の動向が注視される。