【深掘り】嘉手納の騒音、なぜ急増? 三連協の調査から読み解く「運用激化」


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米軍嘉手納基地から離陸し、アフターバーナー(推力増強装置)を使用する戦闘攻撃機FA18Dホーネット=1月29日(読者提供)

 【中部】沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協、会長・當山宏嘉手納町長)が1月13日に実施した目視調査で、米軍嘉手納基地の運用が激化し、住民生活に影響を及ぼしている実態が改めて浮き彫りとなった。昨年12月1日に山口県の岩国基地から飛来した戦闘攻撃機FA18Dホーネットは、同基地を拠点に2カ月にわたり訓練を続けている。場周経路の逸脱も頻発しており、住宅地上空の往来が騒音増加につながっている。

 今回の調査では、1日における航空機の離着陸や旋回などの目視回数が192回に上った。2017年度以降、最新鋭ステルス戦闘機F35Aが暫定配備されていた17年11月の調査に次いで2番目に多かった。騒音最大値はFA18が離陸した際に記録した103・3デシベルだった。

 ■外来機が常駐化

 岩国基地から飛来したFA18は11機。2カ月間、常駐機のF15戦闘機などと訓練を繰り返している。同基地にはこれまで、17年5月からF16が約3カ月、同年10月にはF35Aが約半年にわたって暫定配備され、その際にも離着陸数の増加と騒音の激化がみられた。

 滑走路に近い嘉手納町には、騒音関係の苦情が昨年12月に68件、今年1月に46件寄せられた。

 三連協は外来機の飛来による住民の負担増加を懸念し、同基地の運用改善を求める要請書を1月27日付で日米関係機関に郵送した。

 目視調査では、場周経路を外れて住宅地上空を飛行する様子が22回確認された。そのうちFA18は10回で、約半数を占めた。

 ■広範囲から苦情

 三連協は外来機の飛行が場周経路を逸脱する傾向があると問題視しており、実際に、普段は苦情の少ない地域を含めて広範囲から苦情が寄せられている。

 北谷町ではFA18の飛来前と比べて苦情件数が2倍近く増加した。町によると、比較的苦情の少なかった北玉区でも、嘉手納基地から離陸したとみられる戦闘機が目撃されているという。

 同区の崎山盛善自治会長(67)は「以前はそこまでうるさくなかったが、最近は個人的にもうるさく感じることが増えた。周囲の声も確認してみたい」と話した。

 沖縄市でも場周経路から離れた山里、美里地域の住民から苦情が寄せられている。市は飛行の実態を把握するため、昨年8月から騒音被害が顕著な北側地域も目視地点に加えた。担当者は「騒音の発生状況を具体的に確認する必要がある。今後も調査を続け、結果を精査したい」と述べた。

 視察した嘉手納町の當山町長は「今回の目視調査の結果も踏まえ、データを示しながら改善を求めたい」と語り、騒音の実態をデータとして蓄積することで米軍に具体的な改善策を求めていく考えだ。住民の負担軽減を求める地元の取り組みに、どう応えていくか。日米両政府の姿勢も問われている。(下地美夏子、当銘千絵、新垣若菜)