「生活が続かない」 緊急宣言28日まで延長で沖縄の飲食店は… 


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客席ごとに仕切りを設けるなどして接客する店員=午後5時15分ごろ、那覇市牧志

 新型コロナウイルスの感染拡大で県内の医療体制の逼迫(ひっぱく)が続く中、玉城デニー知事は4日、県独自の緊急事態宣言の延長に踏み切った。外出自粛のほか、飲食店には午後8時までの営業時間短縮の要請が継続される。県の判断を受け入れる意見がある一方、飲食店関係者からは「生活が続かない」「仕事にならない」と出口の見えない状況に悲鳴が上がった。

 「宣言延長は正直、厳しい」。4日午後、浦添市在住の40代女性はため息交じりにつぶやいた。夜間は同市の飲食店でアルバイトをしているが、売り上げの減少や時短営業で収入は落ち込んだ。午後8時に閉店できるよう、店は同7時半には利用客に退店を求める。客数は少なく「延長となると店の営業はさらに厳しくなる」と肩を落とした。

人影がまばらになった飲食店街で接客するスタッフ(右)=午後5時30分ごろ、那覇市牧志

 この日、事務職の面接を受けるため那覇市を訪れた。生活費を確保するため、飲食店のアルバイトに加え、昼間働ける仕事を探している。「同じ状況のままでは、生活が続かない」とこぼした。

 4日午後5時の那覇市牧志。人通りは少なく、閑散とした風景が広がった。「2月7日まで休業」と書かれた張り紙を前に、飲食店を営む70代男性は「午後8時までしか開けられないとなると、仕事にならない」とうなだれた。8日から営業を再開する予定だったが、宣言延長を受け、今月いっぱい休業を続ける。

 苦しい経営状況の中、開店時間を早めたり、ランチメニューを提供したりするなど手探りの対応が続く。沖縄料理と泡盛の店「島酒と肴」では、夕方からの開店を正午に早めたが、それでも厳しい。店長の門脇梨紗さん(29)=那覇市=は「時短が続くとなれば、新たな営業方法を考えないと厳しい」と頭を抱えた。

料理の仕込みをしながら来客を待つ店員=午後5時50分ごろ、久茂地

 県が飲食店への営業時間短縮要請をした昨年12月以降、夜間のタクシー利用者は例年に比べ4割以上減少した。那覇市内で客待ちをしていたタクシー運転手の男性(70)は「給料が前年に比べ3分の1に減った」と明かす。それでも「(県内で)感染者数がなかなか減らないので、宣言の延長はしょうがない」と複雑な心境を語った。