唱者・新垣の独創的な世界観で圧倒 雨音や戦闘機のごう音も 音市場でレコ発ライブ


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幻想的な沖縄音楽を届ける新垣睦美=1月30日、沖縄市のミュージックタウン音市場

 県出身の唄者、新垣睦美の初のレコ発ライブ「ANOTHER WORLD OF OKINAWAN MUSIC」が1月30日、沖縄市のミュージックタウン音市場で開かれた。琉球古典音楽や沖縄民謡を編曲し、自然の音や電子音などを融合させ、新垣の味わい深い歌三線で独創的な沖縄音楽の世界へ引き込んだ。ゲストにジャズバンド「KgK」(川崎巽也=ギター、上地gacha一也=ダブルベース、城間和広=ドラム)を迎えた。 (田中芳)

 幕開けに民謡3曲を届けた。ライブ開催へ感謝の思いを伝えた新垣は「人生にはハードな大きな波が時々やってくるが、“誠の心”を持ってさえいれば、何だって乗り越えられると勇気づけられる曲」と語り「浦波節」を情緒豊かに届けた。アルバム収録曲の中からソロで披露した「かぎやで風節(Kajadihuu―bushi)」や「浜千鳥節(Chijuyaa)」では、厳かな世界観で歌三線を響かせた。

ゲストにKgKを迎え、アルバム収録曲を演奏=1月30日、沖縄市のミュージックタウン音市場

 KgKとの即興セッションで収録曲から「ナークニー ハンタ原」や「Nankuru Nankuru」を披露。ライブごとに曲を変化させ、有機的な音色で新垣の歌三線と融合し、空間を圧倒した。最後に「Too Much Love For You」を演奏。KgKの繊細な音色と対比的に、新垣の心の底から湧き出るような洗練された歌声が会場を包んだ。アンコールに「てぃんさぐぬ花」をゆったりと歌い、会場には観客からの温かい拍手が鳴り響いた。

 作品の中には、雨音や波音や子どもの笑い声、せみの鳴き声、戦闘機のごう音など沖縄の日常の音を取り入れ、より引き込んでいった。新垣は「日常の風景の中にある音がアンビエント(環境音楽)のように聞こえ、音楽が生活の中に深く入り込んでいると感じている。アルバムでは自分の内側で沸き起こっている音を丁寧にすくい上げ収録している作品だ」とコメントを寄せた。