沖縄の景気「厳しい状況にある」 日銀金融経済概況 観光落ち込みで5ヵ月ぶりに下方修正


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 日本銀行那覇支店(一上響支店長)は5日、2月の県内金融経済概況(主要指標2020年12月)を発表し、県内景気を「厳しい状況にある中、持ち直しの動きも一服している」と判断した。

 新型コロナウイルス感染症の拡大や「GoToトラベル」停止などによる観光の落ち込みが大きく、「持ち直しの動きが見られる」としてきた前月までの判断を引き下げた。

 景気判断の下方修正は、昨年9月以来5カ月ぶり。

 先行きも「感染症の再拡大の影響から、下押し圧力が続く」と見通した。

 一上支店長は「目先は厳しいデータが出てくる可能性が高い」と分析した上で、「総じて見れば地域の感染者数は減少に転じ、緊急事態宣言の期限前解除も考えられる。政府もワクチン接種の開始を発表しており、景気が持ち直していくことも期待できる」との考えを示した。

 【個人消費】観光客向けの需要の減少が見られ、百貨店・スーパーの売上高(全店舗)は前年比0・3%減、コンビニエンスストアは同1・7%減となった。

 一方、巣ごもり需要から、家電大型専門店販売額は同27・2%増だった。外食関連の売り上げは前年を下回って推移している。

 【観光】入域観光客数の減少で、昨年12月の主要ホテル稼働率は前月よりも9・2ポイント低下した。聞き取りでは「県独自の緊急事態宣言発出などによって1月は一層低下している」との声も聞かれ、持ち直しの動きが一服している。

 【投資】公共工事保証請負額は前年比21・9%減となったが、年度累計では前年並みとなっており、公共投資は底堅く推移している。着工建築物床面積(非居住用)は同56・6%減、新設住宅着工戸数は同35・4%減となり、民間工事や設備投資は弱めの動きとなっている。