那覇市内のホテル6割が従業員減少 先行きの不透明さから自主退職 1月稼働率は17%


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 県ホテル旅館生活衛生同業組合(宮里一郎理事長)は5日、新型コロナウイルスによる那覇市内ホテルの影響調査結果について発表した。雇用状況に関する調査では、新型コロナの感染前と比べ、従業員数が「減った」と答えた施設が6割を占めた。このうち79%が「自主退職による減少」と回答し、「経営悪化により、やむを得ず人員整理をした」と答えたホテルも14%あった。

 従業員が「増えた」のは全体の7%で、「変わらない」が33%だった。

 自主退職の理由では、給料カットで生活が厳しくなった従業員や、観光業界の先行きの不透明性を理由に辞めていく人などがいるという。人員整理に踏み切らず雇用調整助成金で雇用を継続しているホテルも多いというが、新規採用の見送りのほか、有期雇用社員の契約を更新できないなどの現状がある。

 ホテル稼働に関する調査では、回答施設の1月の平均客室稼働率は17・2%にとどまった。昨年1月の53・1%と比べて35・9ポイント下がった。1月の売り上げの合計は、20年は27億9132万円だったが、21年は7億4565万円に落ち込んだ。

 調査した1月27日時点で、回答のあったホテルのうち12%は休業しており、休業を予定・検討するホテルも12%だった。県独自の緊急事態宣言が発令される前から、全国的な感染拡大や年末の「Go To トラベル」停止を受けて予約状況が悪化していた。

 調査対象296軒のうち、雇用調査は58軒(回答率19・5%)、稼働調査は41軒(回答率13・8%)から回答を得た。

 観光庁の宿泊統計調査によると、県内の宿泊施設数は4538軒と全国で最も多い。県内総生産(GDP)に占める観光消費額も沖縄が全国1位で、人の移動の自粛による経済の打撃が大きくなっている。

 同組合の中村聡専務理事は「ありえない数字がずっと続き、業界は瀕死(ひんし)の状態だ。県の緊急事態宣言が解除されるまでの、つなぎの支援が必要だ」と訴えた。