就任から3年、渡具知武豊名護市長に聞く 新基地建設「国と県の訴訟の推移を注視」


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 【名護】8日で就任3年を迎える渡具知武豊名護市長は4日、琉球新報などのインタビューに応じた。辺野古新基地建設に関し「国と県の訴訟の推移を注視する」との見解を繰り返し「係争中という状況が変わらない限り立場は変わらない」と述べ、賛否は明言しない姿勢を示した。市内の県立北部病院と北部地区医師会病院を統合する公立北部医療センター(北部基幹病院)について「開院の遅れがあってはならない」と着実な計画推進を強調した。

就任3年を前に、記者の質問に答える渡具知武豊名護市長=4日、名護市役所市長室

Q.3年間の成果は。

 「保育料、給食費、子ども医療費の無償化や給付型奨学金を実現できた。課題だった一般廃棄物処理施設整備が、防衛省の民生安定事業を活用し75%の高補助率での整備が可能となった。2018年度から取り組む名護湾沿岸基本構想は市民の憩いの場にしたい」

Q.今後の課題は。

 「一般廃棄物処理施設の整備をしっかり進めていく。待機児童は若干の改善は見られるがまだ多い。老朽化した給食センターや葬祭場の更新も必要だ」

Q.保育料などの無償化に(基地建設受け入れで得る)再編交付金を活用している。事業の継続性の観点で、将来交付がなくなった後の財源確保のめどは。

 「今のところはない。任期でできることを考えるのが一つの立場だ。交付金が交付されているので活用するのは当然だ。それ以外の財源ではかなり難しい」

Q.辺野古の新基地について容認を表明すべきだとの声もある。

 「曖昧との指摘があるのは承知している。当初から賛成でも反対でもなく国と県の訴訟を注視する立場で、曖昧には当たらない。(容認表明を)少なくとも私に直接言う人はいない。市民に訴えたスタンスは、状況が変わらない限り守っていかないといけない」

Q.新基地建設の設計変更に関する市長意見を再提出するか。

 「検討中。市議会12月定例会で否決されたが、いろいろな意見が出た。そこも踏まえて検討している」

Q.新基地建設に必要な美謝川の切り替え工事について、どう対応するか。

 「沖縄防衛局から市法定外公共物管理条例に基づく協議が出された際は、法令に基づき適切に審査する」

Q.北部基幹病院の3候補地への考えは。

 「計画通り進む候補地に決定すればいいと考える。26年の開院が遅れることはあってはならない」

Q.2期目への出馬は。

 「2期目の話は私からするものではないと思う。公約をしっかり実現していくことに尽きる」

 (岩切美穂)