テレワーク「取りやめた」28%…出勤7割減、厳しく 人出も減らず 沖縄県緊急事態2週間


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帰宅時間に多くの人が交差するスクランブル交差点=1月20日午後5時すぎ、那覇市の県庁前スクランブル交差点

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3度目となる県の「緊急事態宣言」が1月20日に発出され、2週間が過ぎた。県は県民に不要不急の外出自粛を求め、飲食店への時短縮業要請などで休日や夜間の人出は大幅に減り、新規感染者数も減少傾向が続いている。一方、接触をできるだけ抑える策の一つとして、県は緊急事態宣言下でテレワークやリモートワーク会議、時差出勤を推進している。緊急事態宣言にも「出勤者の7割削減」を目指すよう打ち出し、働き掛けてきたが、那覇市内で人流分析をしたところ、実現が難しい状況になっていることが浮き彫りとなった。

■県庁前は増加

 琉球新報は、ビッグデータ収集の「Agoop(アグープ)」から提供を受け、沖縄都市モノレール県庁前駅から半径300メートルの人の流れを追った。平日の24時間で、エリア内に滞在していた人口の平均を調べたところ、県の緊急事態宣言が発出された1月20日~2月3日までの間は1万5728人だった。

 県独自の「緊急事態宣言」が最初に発出された昨年4月20日~5月14日と比較すると約37%増加、2度目の発出となった昨年7月31日~9月5日の期間と比べると約17%増加している。

 今回の緊急事態宣言が発出される前の1月1~19日の間の平日と比較しても、滞在人口は0・5%増えていた。

■実施中2割以下

 企業の出勤者抑制の取り組みを巡っては、東京商工リサーチ沖縄支店が1月5日~24日の間に県内121社からアンケート調査を取ったところ、在宅勤務やリモートワークを「一度も実施していない」とした企業は全体の54・2%に上った。感染症が拡大した昨年以降に、テレワークなどを実施したが「現在は取りやめた」との回答も約28%に上っており、現在実施している企業は2割にも満たなかった。

 回答企業が一部異なるため単純に比較できないが、昨年5月28日~6月9日の調査では「現在実施している」の回答は50・8%に上っていた。

 同社は「現場に出ないと不可能な仕事、他の従業員と連携して行う仕事に加え、取引先との細かい打ち合わせなどでリモートワークはやりにくさがあるもようだ」と分析している。

 沖縄セルラー電話は、1月19日に県が緊急事態宣言を発出した後、全社的にテレワークを週3・5日導入して出勤者を7割減らす計画を立てた。現状では、技術部門などは7割削減を達成できている時もあるが、全社的には4~5割の削減にとどまっているという。

 担当者は「社外との打ち合わせなどはできる限りリモートにしているが、一番の頑張り時の期末ということもあって、営業部門はどうしても7割の達成はなかなか難しい」と話した。