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空中ブランコで魅了 木下大サーカス団員・今村翔さん<県人ネットワーク「輝く」>


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木下大サーカス団員で空中ブランコで華麗な技を披露している今村翔さん=8日、神奈川県横浜市

 地上から13メートルの上空。鍛え上げられたアーティストたちによる、息をのむ技が次々と披露される。「空中ブランコショー」は、100年以上の歴史がある木下大サーカスの花形のショーだ。その空中ブランコショーで、体操で培った抜群の身体能力を生かし、難易度の高いアクロバット技を披露し魅了する。

 親の勧めで4歳から体操を始めた。進学した興南高校では床や跳馬を得意とし、世界選手権に出場した安里圭亮選手と共にインターハイにも出場した。けがもあり、九州共立大在学中は平行棒に切り替えた。

 選手生活は、けがに悩まされ続けた。病院に通う中、卒業後は医療事務の仕事に就こうと勉強を始めた。だが大学3年の時、木下大サーカス福岡公演を観賞し、迫力あるステージに引き込まれた。感動で体が終始震えた。「今までの経験を生かして夢を与えられる」。公演が終わると、その足で事務所を訪ねた。

 大学を卒業後、2016年4月に入社。空中ブランコショーへの出演を熱望したが、こつをつかむのが難しかったという。「イメージしていたものと違っていた。こつをつかむのに半年はかかった」

 19年の大阪公演で念願の空中ブランコショーへのデビューを果たした。現在はオープニングや空中ブランコ、跳び箱を使ったコミック芸「スーパーキャッツ」など5種目に出演。空中ブランコでは後方2回転宙返りの難しい技を披露し、ショーに花を添える。

 空中ブランコは、タイミングがずれれば、落下する危険なショーである。「恐怖はない。衣装を着ると自然にスイッチが入るし、そのために日々、練習を重ねている」と話す。演技を披露する際はダイナミックさ、キレ、美しさにこだわる。「どんな状況でも、同じパフォーマンスをお見せできるように心掛けている。いつか、地元で披露したい」


 いまむら しょう 1993年生まれ、北中城村出身。4歳から沖縄市のニライ体操クラブで体操を始める。小中学校で九州大会で団体優勝、興南高校でインターハイ出場。九州共立大学卒業後の2016年に木下大サーカスに入社。19年から空中ブランコショーに出演している。