那覇ー久米島間の高速船導入を検討 久米島町、採算性を調査 JR九州高速船を検討


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JR九州高速船が所有する高速旅客船「ビートル」(同社ホームページから)

 久米島町が那覇―久米島間で高速船導入の可否を検討するため、19日にも庁内に検討委員会を立ち上げることが10日、分かった。町はこれまで高速船導入に関する可能性調査を実施してきたが、採算性や維持費用、運航計画などを含めて具体的な検討を開始するのは初めて。町関係者によると、JR九州高速船(福岡市)が博多―韓国・釜山間で運航する高速旅客船「ビートル」の導入についても調査を進めている。

 ビートルは「ジェットフォイル」と呼ばれる水中翼船で、時速80キロ前後の高速運航が可能。JR九州高速船は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて韓国航路の再開見通しが立たないことから、保有する3隻の売却を検討している。

 JR九州高速船は取材に対して、町側と話し合っていることを認めた上で「町側の意向を確認していきたい」と述べた。同社によると、導入された場合、那覇―久米島間の運航時間は、現在の片道3時間30分から1時間30分程度に短縮される見通しだとしている。

 一方、久米島町の担当者はビートルの導入について「決定しているわけではない」と答えた。

 関係者によると、JR九州高速船側と久米島町との仲介は下地幹郎衆院議員が担い、具体的な売り上げ試算表などの資料も提示されている。ただ、ビートルは運航開始から約30年たっており、使用期間が長いことが懸念されている。維持費の問題を解決し、購入金額を巡っても折り合えるのかが焦点となっている。

 現在、久米島―那覇間は、久米島商船の運航する2隻の大型フェリーと、日本トランスオーシャン航空の航空便がある。

 取材に対して、大田治雄町長は「具体的にビートルを導入するのかは決定していないが、久米島は航空便のキャパシティーの問題もあり、観光客数が伸び悩んでいる。コロナ後を見据えて、高速船の導入に向けた調査、検討は進めていきたい」と語った。
 (池田哲平)