漁港補助金返還めぐり伊平屋村長に賠償請求 住民8人が村監査委に


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伊平屋村役場

 【伊平屋】沖縄県伊平屋村(伊礼幸雄村長)が2018年度に発注した田名漁港のしゅんせつ工事などの工期の遅れに伴い、出来高払い分の補助金8680万円を村が県と国に返還したことを巡り、住民8人が10日、村監査委員会に対し、伊礼村長に損害賠償を求める住民監査請求を提出した。監査結果は60日以内に出される。住民らは「不法行為と債務不履行責任に基づき、村長は損害賠償責任を負っている」として、請求が却下された場合は住民訴訟を起こす構え。

 田名漁港の改修工事は漁村地域整備交付金事業を活用して実施した。総事業費は1億6300万円。交付金は国が70%の1億2225万円、県が25%の3260万円、村が5%の815万円。航路拡張のためのしゅんせつ工事で、工期は2018年4月から19年3月までだったが、同工期中の進捗(しんちょく)は全体の4割で、出来高に到達していなかった。村は、業者への前払い金を出来高に含めて県に請求していた。

 監査報告書などを入手した住民らによると、県への概算請求書には、決裁がないまま村長印が押されるなど不正もあったという。

 伊平屋村は1月16日に8680万円を県に返還。返還に先立ち、伊礼村長は県に(1)業務進捗状況と公印の管理徹底(2)情報共有を充実させるための職場環境の改善―などを挙げ「判明した事実に真摯(しんし)に向き合い、事業実施主体としての認識を再確認し事業執行に努める」とした再発防止報告書を提出した。