沖縄県の宿泊支援「家族でステイホテル」完売相次ぐ 「GoTo停止と矛盾」の声も


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「同居家族でStay Hotel!」のチラシ

 同居家族によるホテルでの“巣ごもり”に、沖縄県が1人当たり5千円を補助する宿泊施設支援事業「同居家族でStay Hotel!」の予約が10日に始まった。同日午前10時に宿泊施設一覧が沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の公式サイトで公開されると、午前中で割り当て分を全て売り切る施設も複数あった。一方で、県民に不要不急の外出自粛を求める緊急事態宣言が続く中で、琉球新報には「Go To トラベルも停止しているのに矛盾していないか」といった声も寄せられている。

 10日午後6時時点で県内117施設が参加している。順次、参加施設を増やしている。

 那覇市内のある大型ホテルでは100人先着で販売を始め、10日昼には全て完売した。完売後も問い合わせは相次いだという。

 ホテルでは宿泊客同士の接触を抑える感染対策として、客室内で食事を取るオリジナル弁当付きのプランで販売した。担当者は「稼働を上げるほどには全然至らないが、事業はないよりはあった方が良い。お客さんに安心して利用してもらえるよう対策をとっている」と話した。

 恩納村などのリゾートホテルでも10日時点で販売を終えるホテルが続出するなど、需要の高さがうかがえた。

 緊急事態宣言が延長される中で、県やOCVBは、県民に自宅ではなく感染対策がとられたホテルで過ごしてもらい、稼働率の激減に苦しむ宿泊施設の営業を助ける狙いがある。

 飲食店には営業時間短縮要請への協力金として1日4万円を県が支給するが、Go Toトラベルが停止している観光業は協力金や営業補填(ほてん)が全くない状態だ。OCVBの下地芳郎会長は「今できる最低限の観光業支援策だ」と説明した。

 これに対し、恩納村の観光事業者からは「不要不急の外出を求めながら、このような事業をやるのは整合性がとれないのではないか」との慎重意見もあった。

 ホテル滞在の感染リスクについて、県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は「県内のホテルは感染対策が進んでおり、最近では感染事例も出ていない。同居家族であれば、ホテルに泊まっても感染リスクは変わらない。自家用車での移動だと、公共交通機関での感染リスクも避けられる」と話す。

 食事についても、今回の緊急事態宣言に伴う飲食店への時短要請は夜の宴会を避けるためであり、感染対策がとられているホテル内のレストランであれば問題ないという。

 ただ、利用条件の「同居家族」について、2世帯住宅で居住する高齢者を伴って利用する場合はリスクが高まるといい、高山医師は「厳密に世帯ごとに宿泊してほしい」と注意喚起した。