ターゲットは新婚夫婦? ゴキブリに寄生する冬虫夏草、新種を国内初発見 琉大・沖大研究チーム


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新種に登録されたゴキブリタケ(盛口満教授撮影)

 琉球大学熱帯生物圏研究センターと沖縄大学の研究チームは5日、ゴキブリに寄生する冬虫夏草の新種を日本で初めて発見したと発表した。ゴキブリに寄生する冬虫夏草は珍しく、世界で3例目。DNA解析の結果、シロアリ寄生菌を祖先に持つ可能性が出ている。国際的な菌学の学術雑誌「IMA Fungus」誌の同日付に、研究成果が掲載された。

 冬虫夏草は昆虫に寄生する菌類の総称。寄生した昆虫を殺してキノコとなり、胞子を放出して感染を広げる。

 新発見の冬虫夏草は、主に木の中で生活するクチキゴキブリに寄生する。研究チームは国頭村のタイワンクチキゴキブリ、宮崎県と鹿児島県屋久島のエサキクチキゴキブリに寄生しているのを発見し、解析した。国頭村で見つかったものをタイプ標本とし、学術名は「オフィオコルディセプス・サルガネイコーラ」に決まった。和名は「クチキゴキブリタケ」を検討している。

 新種は同じ木に住む1~2匹のクチキゴキブリの成虫から発生しているのが見つかっている。クチキゴキブリは夫婦で子育てすることで知られており、春の繁殖期に合わせて感染を広げている可能性がある。

 研究チームの松浦優・琉球大熱帯生物圏研究センター助教は「分かっていないことが多いが、おそらく『新婚』の夫婦をターゲットにしている」と説明した。

 研究チームは松浦助教のほか、沖縄大学学長の盛口満教授、琉球大熱帯生物圏研究センターのアラウージョ外国人研究員ら。