創作舞踊に生きた阿波連本啓の伝記発刊 著者で息子の本紀さん「父の生きた足跡知って」


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
阿波連本啓の伝記を著した阿波連本紀さん=1月27日、那覇市の自宅

 琉球舞踊の阿波連本流啓扇会の初代家元・阿波連本啓(1903~2001年)の生涯をまとめた「表現 創作舞踊に生きた生涯(いちみ)~阿波連本啓 啓扇の華~」が、命日の1月13日に発刊された。本啓の息子・阿波連本紀さん(77)が著した。本紀さんは「本啓の孫弟子、ひ孫弟子の世代に、父の生きた足跡を少しでも知ってもらい、芸道に生かしてもらいたい」と話した。

 阿波連本啓は1927年に神奈川県の川崎に「阿波連郷土舞踊同好会」(後に「阿波連舞踊研究所」に改称)を開いた。1938年の帰沖後も琉球舞踊の普及・発展、弟子の育成に努めた。創作の名手として知られ、54の創作舞踊を手掛けたとされる。

 「表現 創作舞踊に生きた生涯―」は、全102ページで、表紙は自身の代表的な創作舞踊「綱引き」を踊る本啓の写真が飾る。琉舞を師事した御冠船踊の継承者・川平里之子親雲上朝美との出会いや、「首里文化祭」(現在の琉球王朝祭り首里)での古式行列復活など本啓の芸能活動を網羅する。また、二世市川猿之助の目にとまってキネマ映画社に入り、銀幕でも活躍した話や、関東大震災や沖縄戦体験など、本啓の芸能以外の一面も記されている。