高2男子死亡「なぜ自慢の息子が…」前日の夜、練習をしながら涙「部活やめたい」


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生徒の自宅に飾られたトロフィー=2月、県内

 県立高校の運動部で主将を務める男子生徒が自ら命を絶った。生徒に起きた突然の出来事に、本紙の取材に応じた遺族は「前向きな自慢の息子が、なぜこのような選択しかできなかったのか」と真相解明を訴える。

 生徒の自宅には大会の賞状やトロフィーが並んでいた。遺族によると、生徒は小学校1年で競技を始め、夢中になった。子どもの頃から知っていた男性顧問に声を掛けられ、顧問の勤める高校へ推薦入学した。顧問から生徒への言動は次第に厳しくなり、部活動関係者によると、人前で「使えない」「気持ち悪い」「カス」などの言葉を浴びせられたという。

 生徒は部員を代表し、顧問と電話やメッセージのやりとりをしていた。母親にはいつも「どうやったら怒られないかな」と相談していた。電話を取らないと怒られるとして、すぐに対応できるようワイヤレスイヤホンを自宅でも外さなかったという。

 母親らに「小さいことが積み重なってきつい」「限界。部活を辞めたい」とこぼすこともあった。大会で勝っても、顧問から「まぐれ」と言われ、負けた試合の責任を押し付けられたと話していた。昨年、大きな大会で初めて優勝し、母親が「おめでとう」と声を掛けると、うつむきながら「初めて褒められた」とつぶやいた。

 遺族によると、今年の1月には、部活後の練習を巡って顧問から叱責されたと話し、亡くなる前日の夜は自宅で、練習をしながら涙を流していた。翌朝は気が進まない様子で学校へ向かった。学校によると、生徒は普段通りの様子で授業は全て受けた。しかし部活動には行かず、外出先で自ら命を絶った。

 生徒が持っていたのは携帯とイヤホン。ポケットからは「出来の悪い息子でごめんね」と書いたメモが出てきた。取材に応じた父は、メモを見て「なんで…」とおえつを漏らした。自宅の生徒の部屋には「ありがとう」と書かれたメモも置かれていた。将来の夢は学校の先生で、後輩に競技を教えることも楽しみにしていた。

 顧問が預かっていた昨年の大会で優勝した際の賞状は、通夜に母親に渡された。母親は「本人が一番見たかったはずだ」と、棺に収めた。母親は「死を選ぶ部活は必要ない。大人の発言は大きい」と語る。「(息子は)『同じことが起こってほしくない』と伝えたかったのかな」と声を絞り出した。

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 さまざまな団体や組織が子どもや若者らの悩み相談に電話などで応じている。主な窓口は次の通り。

▽チャイルドライン(0120)997777
▽子どもの人権110番(0120)007110
▽24時間子供SOSダイヤル(0120)078310
▽日本いのちの電話連盟(0570)783556
▽沖縄いのちの電話 098(888)4343
▽NPO法人BONDプロジェクト 070(6648)8318

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