福祉施設、神経とがらせ 対応困難「事例共有を」 宮古島で障がい者支援・青潮園


福祉施設、神経とがらせ 対応困難「事例共有を」 宮古島で障がい者支援・青潮園
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 新型コロナウイルスの感染対策を巡り、県内の障がい者施設では緊張が続く。宮古島市の障害者総合支援施設「青潮園」では、手指や施設内消毒など対策を講じているものの、障がいによってはマスク着用など普段とは異なる対応が困難な利用者も多い。市内の高齢者施設でクラスター(感染者集団)が確認されたこともあり、感染対策の徹底に神経をとがらせている。

 「ついに来たか」―。宮古島市で感染が急拡大した1月、青潮園の職員の間では緊張感が漂っていた。施設には身体障がいや知的障がい、精神障がいのある約100人の利用者がいる。そのうち約50人が入所しており、24時間身体介護が必要な入所者には、1人に対して5人以上の職員が関わっている。

 下地勝男施設長(56)は「多くの利用者にはコロナや感染対策の意味を理解してもらうことが難しい。多動で施設内のいろいろな場所に出入りする方もいるため、行動制限は難しく、感染が広がるリスクは大きい」と語る。

 年明けから職員やその家族に濃厚接触者が確認されるようになった。一時は職員3人が同時に休む状況が生まれた。不安を抱えた職員から夜中に連絡が入ることもあった。「精神的なストレスはかなり大きい。『いつ自分が』という不安がつきまとっている」。

 利用者を受け入れるためにマンパワーが必要だが、長期間続くストレスや不安で仕事を辞める人が出てしまわないか、という心配もある。「人数が不足すると利用者を受け入れられない。経営が立ち行かない悪循環に陥ってしまう」と心境を明かす。

 昨年12月、下地施設長らは県に対し、利用者が感染した場合の速やかな入院や、感染者に対応する職員の宿泊施設確保、感染が発生した場合の人的支援などを求める要望書を提出した。

 市内にある高齢者施設でクラスターが確認された事例もあった。青潮園入所者の中には高齢者もいる。今後に備え、市には原因と対応策の共有を求めている。感染者が出た場合、島内で受け入れ先が確保できるか懸念もある。

 「日常生活に介助が必要な利用者がいる限り、施設を閉めるわけにはいかない。感染拡大を防ぐためにも事例を共有し、各施設の対策につなげていく必要がある」と訴えた。

(吉田早希)