宮森小事故の悲劇、地元の児童生徒ら熱演 後遺症の苦しみや米軍との交渉も描く


社会
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石川・宮森小米軍ジェット機墜落事故の悲劇を演じた「石川ひまわりキッズシアター」の児童生徒ら=うるま市石川会館

 【うるま】62年前に起きた「石川・宮森小米軍ジェット機墜落事故」を題材にした演劇「流星の彼方(かなた)に」の公演がこのほど、うるま市石川会館であった。市石川の児童生徒らで構成する「石川ひまわりキッズシアター」が迫真の演技を披露し、事故当時の悲惨な状況や、被害者や家族の苦しみを伝えた。新型コロナウイルス感染症対策で無観客公演となった。

 当時宮森小2年で、事故で大やけどを負った新垣晃さんの話がテーマで、琉球新報記者が入手した新垣さんについての資料などを基に舞台化された。

 新垣さんは高校や大学で、陸上の長距離選手として活躍したが、劇中では事故の後遺症で苦しむ様子などが描かれ、その後23歳の時、後遺症が原因で亡くなった。

 事故で長男を亡くした伊波春代さんが米軍の担当者と賠償金交渉する場面もあった。交渉の場で怒りをあらわにした伊波さんに対し、米兵が銃口を向けるシーンも。ひまわりキッズは事故直後の現場の惨状、子を失った悲しみに暮れる家族の様子などを演じ平和への願いを訴えた。

 この日に向け、週2回の練習を重ねてきた。新垣さんの役を演じた伊波夢莉亜さん(16)=石川高1年=は公演後「大やけどを負い、つらい経験をした新垣さんの感情をどう表現するか試行錯誤した」と話した。

 事故を語り継ぐ石川・宮森630会も後援した。劇中で事故の概要を説明した久高政治会長は終了後「劇や事前学習を通し、子どもたちも平和について学ぶことができた。この経験を他の子へ伝えることができればとても価値あることだ」と語った。

 ウチナーグチ演劇集団の比嘉座も協力出演した。当初1月16、17の2日間の公演を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で観客を入れず、17日のみとなった。