富川盛武副知事は16日、「Withコロナ、Afterコロナ時代の新たな沖縄観光基本方針案」を発表した。新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた観光産業の復活に向けて、「安全・安心の島沖縄」の推進と、国内外へのターゲットを明確にしたプロモーションの展開という方向性を示した。その上で、特定のマーケットや観光形態に依存しない顧客・市場の多様化によるリスク分散や、沖縄の歴史や文化、風土などのソフトパワーを活用した高付加価値のツーリズム展開などを、沖縄観光の目指す姿として提案した。
2022年度から10年間の第6次県観光振興基本計画を検討しているアドバイザリー会議に方針案を提示し、取りまとめる。
基本方針案では、「安全・安心」の実現を経済回復の前提とし、水際対策の強化や検査体制の拡充に取り組むとした。観光産業の回復に向けて、短期的には県内旅行などのマイクロツーリズムを推進して域内需要を取り込み、段階的に県外観光の誘致、インバウンド向けのプロモーションへと出口戦略を進める。
コロナ禍の収束後は、持続可能な観光を目指すために、「量から質への転換」を強く打ち出していく。観光客数の拡大を優先する従来の振興策から、沖縄の自然や文化を尊重して価値観を共有できる旅行者の誘致など、ターゲットを絞ったマーケティングに転換する必要性を指摘した。
市場の一極依存を避けるために、中国、台湾など主要国へのプロモーションと並行して、東南アジア各国や欧米豪のウエートを高めるなど、マーケットの多様化を目指すとした。
富川副知事は、イタリア・サルデーニャ州の事例を基に、経済指標に加えて環境保全や地元住民の福利も考慮した、新たな観光指標を導入するとした。県は14年以降、国内で初めて環境面や県民の生活面も含めた40項目の「沖縄観光成果指標」を導入しているが、今後も項目を増やすなどして、持続可能な観光の目安となるバロメーターとしていく方針。県は毎年公表している「ビジットおきなわ計画」の代替として、観光復興計画(仮称)の策定を進めていた。