【記者解説】コロナや子どもの貧困に玉城県政はどう取り組むか 21年度県政運営方針


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沖縄県議会

 16日に開会した県議会2月定例会で、玉城デニー知事は2021年度の県政運営方針を表明し、新型コロナウイルス感染症の水際対策を含め、感染拡大防止と県民生活の安定、経済の回復に向け「全庁一丸となって取り組む」と強い決意を示した。 (座波幸代)

 県議会2月定例会では、補正と21年度当初予算合わせて約1058億円のコロナ対策関連予算を計上。4月に「感染症対策課(仮称)」を新設し、PCR検査態勢の強化やワクチン接種の体制整備に取り組む。

 21年度の各種施策は、沖縄の日本復帰50年に向けた22年度からの次期沖縄振興計画の骨子案を色濃く反映する内容となった。経済分野はコロナ収束後の回復・成長を見据えアジアの活力を取り入れ、産業間の連携強化やインフラ整備、観光の「量から質」への転換など華々しい文言が並ぶが、具体的な実効性は未知数だ。

 特に、玉城知事が県政の「一丁目一番地」と表現する「子どもの貧困対策」について、生活困窮家庭に対する食支援体制の整備などに取り組むとしたが、「貧困の連鎖」を断ち切るための困窮世帯の所得向上に向けた施策は見えず、これまでと同様、対症療法に終始している感は否めない。

 21年度は沖縄21世紀ビジョン基本計画の最終年度で玉城知事は「引き続き、県民所得の向上、子どもの貧困の解消、過重な基地負担の軽減などの重要課題に対応」するとした。玉城知事自身の任期1期目の仕上げに向け、課題解決の手腕が問われる。