ボクシング全日本ジュニア準Vの岸本 名門・東洋大に進学 初の女子部員に パリ五輪目指す


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ミット打ちで汗を流す岸本有彩=1月、北谷町の沖縄ワールドリング

 独特のジャブから繰り出す果敢な攻めで、2024年のパリ五輪を目指す女子高生ボクサーがいる。ライトフライ級の岸本有彩(18)=嘉手納高3年=だ。19年の全日本選手権ジュニアの部、同級で準優勝し一躍注目の的となった。4月からは名門・東洋大に進学する。初代女子部員として技を磨き、日本代表の座を狙う。 (上江洲真梨子)

 元キックボクサーの父・有三さんの影響で小学3年からキックボクシングを始め、中学1年でボクシングに転向した。在住の名護市から両親の送迎で北谷町の沖縄ワールドリングに通っていたが「ボクシングを極めたい」と嘉手納高校進学と同時に家族で同町への転居を決めた。

 独特のジャブで相手を翻弄(ほんろう)し、軽快なステップで間を詰め拳を打ち付ける。そんなプレースタイルに自信が持てたのは、準優勝した19年の全日本選手権ジュニアの部だった。アマチュアのホープとの呼び声高い篠原光(東京)との決勝戦。それまで対戦した2戦ともRSC負けした宿敵の相手に判定まで持ち込んだ。負けはしたが「自分のボクシングが全国でも通用することが分かった」。ダウンを取られることもなく、終始攻めの姿勢を貫き、確かな手応えを感じた。

 「次は日本一」との目標を掲げ挑んだ20年は、コロナ禍で大会が中止となり、一時は「モチベーションの行き場もなくやばかった」と喪失感にさいなまれた。そんな時に東洋大の監督から声が掛かり、進学を決意。迷いもあったが、練習に参加すると「雰囲気も良くて即決だった」と笑みを浮かべる。

 昨年末には、東京五輪代表選手も参加した合同強化合宿のメンバーにも選出され、国内トップレベルの練習に汗を流した。3泊4日と短い日程だったが、女子フェザー級代表の入江聖奈らと手合わせし「国内トップのレベルを実感できた」。ナショナルコーチからジャブのバリエーションや攻め入り方も指導してもらい「全部メモして持って帰り常に意識している」と貪欲な探究心をのぞかせる。

 岸本が大学4年時に開催予定のパリ五輪。「登り切れるところまで行ってみたい」と出場を見据える。日本代表、ひいてはメダル獲得も狙い頂点へと駆け上がる。