賃料値下げ交渉急増 20年沖縄県内 コロナでリーマン超え 家賃保証申し込みも増


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 新型コロナウイルスの影響で社会経済活動が停滞した2020年、県内の店舗やアパートの賃貸物件で、家賃の値下げ交渉件数が増加していた。複数の賃貸管理会社によると、昨年の家賃関係の相談はリーマン・ショックを上回り、過去にない多さだった。また、家賃債務保証大手の全保連(那覇市、迫幸治社長)では、家賃保証サービスの申込件数が20年度当初計画を大きく上回る水準で推移しているという。新型コロナの影響が長引く中で、家賃滞納リスクを回避するための新規獲得につながっているとみられる。

 本島中部の不動産会社では、アパートや店舗などの管理物件で、昨年1年間の家賃値下げの交渉件数が約130件に上った。県内人口や世帯数の伸びに伴って賃貸供給が不足する状況だったのが、新型コロナの影響で家賃が支払えなくなることに急転した。

 家賃交渉の約半分で値下げに応じたという。同責任者は「リーマン・ショックの件数を上回っている。このような状況は初めてだ」と語る。

 那覇市内の賃貸管理会社でも、昨年、家賃値下げの相談が約70件あった。特に店舗入居者からの申し出が多く、家主が値下げに応じたのが20店舗程度あったという。相談は昨年5~7月に集中し、管理会社の担当者は「店舗経営が厳しくなり、一時的に(値下げの)問い合わせが殺到した。現在、県などから家賃補助もあるので、減額相談はほぼ無くなった」と話した。一方で、県内で家賃保証約18万件を有する全保連では、20年4月~21年1月の家賃滞納件数は前年同期に比べて約10%の減少だった。新型コロナによる解雇や収入減で家賃の支払いが難しくなったケースも発生したが、同経営企画部は「外出や外食を控える人が多かったため出費が抑えられ、家賃の確保もできたのでは」と滞納減少の要因を分析した。

 入居者や家主が加入する家賃保証の申し込みについては、昨年5月以降、当初計画を上回る勢いで新規の件数が伸びているという。同部は「電話営業が奏功し、新規の不動産管理会社の獲得で好調に推移した」と語った。