安保法訴訟、控訴を棄却 住民側は上告方針 高裁那覇支部


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
福岡高裁那覇支部

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が憲法9条などに違反するとして、県内在住の戦争体験者や米軍基地、自衛隊基地周辺の住民ら80人が国に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)は18日、請求を退けた一審那覇地裁判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。住民側は最高裁へ上告する方針。

 判決理由で大久保裁判長は、県内には現在も多くの米軍基地や自衛隊駐屯地が置かれているとし「日本が戦争に巻き込まれた場合に標的になり得ることなども踏まえると、住民らの恐怖や不安は切実なものだ」と認めた一方、「一部の国民が反対していても内閣で閣議決定されたり国会で立法されたりすることは憲法が予定している」と判示した。安保法が違憲かどうかの判断は示さなかった。

 昨年11月に開かれた控訴審第1回弁論では、住民側の代理人弁護士が発言している途中で大久保裁判長が審理を終わらせて退席。住民側はその場で大久保裁判長らの交代を求める「忌避」を申し立てた。福岡高裁は昨年12月、申し立てを却下した。

 住民側は判決言い渡しの18日にも再び忌避を申し立てたが、却下された。弁護団は「今回の判決と訴訟指揮の不当性を断じて許すことができない」などとする抗議声明を出した。

 安保法を巡る同種の訴訟は全国22の地裁・支部で起こされている。今回の高裁那覇支部判決は、控訴審では初めて、請求に対する判断が示された。