「諦めかけていた高校に入学できた」 沖縄工業の高校生が母校に恩返し お手製のロッカー寄贈


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恩返しの思いを込めて製作した移動式ロッカーを母校の照喜名朝盛校長(右)に贈呈する沖縄工業高校建築科3年の永山祐大さん=9日、南城市佐敷の佐敷中学校玄関フロア(沖縄工業高校提供)

 【南城・那覇】那覇市松川の沖縄工業高校(大城栄三校長)建築科3年の永山祐大さん(18)=南城市佐敷=は9日、授業の一環で製作した移動式ロッカー3台を母校の南城市立佐敷中学校(照喜名朝盛校長)に寄贈した。建築科で学んだ技術を生かして約1年かけて完成させた大作。永山さんは「諦めかけていた高校に入学できたお礼です」と母校への恩返しの思いを伝え、照喜名校長に贈った。

 永山さんは佐敷中の70期卒業生。中学3年当時、入試に向けて学習のサポートをしてもらった教諭や母校への感謝の気持ちを持ち続けて、高校生活を送っていたという。

 永山さんは昨年母校の照喜名校長を訪ね、高校を卒業する前に恩返しの気持ちを込めて作品を贈りたいという思いを伝えた。その際、佐敷中では新型コロナウイルス感染予防対策として密を避けるために、体育館の男子生徒用の更衣室は体育館倉庫を使用するということを知り、キャスター付きの移動式ロッカーを考案した。ロッカーの仕切りは、くぎを使用せずに板と板を組み合わせる「相(あい)欠(か)き継ぎ」の技法を用いた。縦160センチ、横2メートルの大きさや大きさを変えた合計3台を完成させた。

 照喜名校長は「本人の努力はもとより先輩の活躍を誇りに思う後輩への励みになった。うれしい限りだ」と喜びを話した。

 南城市から那覇市にある高校まで3年間自転車通学をしている永山さんは、建設会社に就職が内定した。「課題を通して誰かのために行動することを学んだ。今後はお客さまのことを考えて働いていきたい」と胸を張った。4月から社会人の一歩を踏み出す。
 (中川廣江通信員)