次期振計 市民目線で 未来提案プロジェクト 20~50代の有志議論


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オンライン会議システムを通して開催した貧困対策分科会で意見を交わすメンバーら=11日

 2021年度で現行の沖縄振興計画(振計)の期限が切れることに伴い、県が策定を進める次期振計を市民目線で考えようと、有志が「沖縄未来提案プロジェクト」を発足させた。県が1月末に公表した次期振計の骨子案を議論のたたき台にし、「貧困対策」や「交通」「安全保障」など約20の分科会を設置した。各分科会テーマの業界で働いていたり、興味があったりする市民らが平日の夜や土曜・日曜日にオンライン上で集まり、ライブ配信で議論している。チャットシステムを通して視聴者も意見を述べることができる。議論の結果は県へ提出する。

 人々やコミュニティーをつなげる活動に取り組む石垣綾音氏(31)=那覇市=が昨年、県内外に住む20~50代の学生や研究者、NPO法人関係者、政治家、自営業者ら約40人に呼び掛けて発足した。既に開催した分科会は動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。

 11日にユーチューブでライブ配信した貧困対策分科会では、骨子案の「格差が生まれにくい共助・共創社会の実現」の項目内にある「県民一人一人が(中略)社会や地域づくりに主体的に参加し、地域課題の解決に取り組む共助・共創の社会の実現を目指す」との記述を疑問視する意見が上がった。

 メンバーの一人で貧困問題に取り組む糸数温子氏は「互いの支え合いは限界がある。格差は経済政策でしか解消できない」と指摘した。

 学生の宇地原栄斗氏は「税収の低下を補うため、『共助』や『コミュニティー』、『支え合い』がノスタルジックに持ち出されることが多い。(格差是正は)公的に補償しないといけない権利だ」と指摘した。

 石垣氏は「何か物事が起こったときには既に決定されていて、意見を言っても遅い場合が多い。結果的には政策につながらなかったとしても、自分たちが目指す沖縄のビジョンをつくり、みんなで連携して活動できればいい」と語った。

 会への連絡などは、短文投稿サイト「ツイッター」のアカウント「ThinkOkinawa」からできる。 (梅田正覚)