県高校春季空手道 女子・喜屋武、鍛錬の成果で悲願 男子・東海は納得せず


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 空手の県高校春季大会は20日、那覇商業高体育館で行われ、女子形は喜屋武柚希(本部2年)が優勝した。喜屋武は団体組手と2冠を達成した。男子形は東海毅(浦添1年)が制覇。男子団体組手は前原A(伊礼寿央貴、伊保克矩、山本琉暉)、同女子は名護・名護商工・本部(三枝穂乃香、宮城愛奈、喜屋武、仲宗根凜)が頂点に立った。


喜屋武、鍛錬の成果で悲願

女子個人形決勝 気迫のこもったパープーレンを披露する本部の喜屋武柚希=20日、那覇市の那覇商業高校(新里圭蔵撮影)

 県大会決勝で毎回悔し涙を流してきた女子形の喜屋武柚希(本部)。九州新人で優勝しているが、県内ではプレッシャーから硬くなり県総体は4位、県選手権と県新人は2位だった。中学1年生以来の県制覇に「やっと優勝できた。うれしい」と目に涙をためながら途切れ途切れに話した。

 「九州チャンピオンとして自信を持っていこう」と堂々とした歩みでコートに向かった。決勝の形は昨年8月から取り組み始めた糸東流のパープーレン。個性が表れやすい形だ。持ち前のスピードと力強さを緩急をつけて表現。「力が入り過ぎず練習通りにできた」と会心の出来だった。朝昼は強豪の重量挙げ部で練習し、放課後に黙々と一人、体育館で形を打つ。空手に生かすため、重量挙げでは腕立て1日千回などで突きの威力を増してきた。体の軸を安定させるために近所の浜辺で練習する日もある。

 父・敦さんの小林流の道場でも稽古するが、他流派の形は出稽古で教えを請うことも多い。学んだ内容のメモを見ながら形を改善する日々に、敦さんは「休まず怠けず鍛錬をしてきた」と誇らしげに話す。

 団体組手と2冠を達成し「まさか勝てるとは」と驚いた様子。初の全国選抜は「勝ちを意識し過ぎると自分の形が打てなくなる。一試合一試合に集中したい」と鍛錬を継続する。

(古川峻)


圧倒も納得せず 男子形V東海

男子個人形決勝 力強いスーパーリンペイを演武する浦添の東海毅=20日、那覇市の那覇商業高校(新里圭蔵撮影)

 男子形は東海毅(浦添)が2位に2点の大差をつけた。決勝のスーパーリンペイは気迫、パワー、スピードのどれを取っても他を圧倒していたが、「ただ突いただけの置きにいった演武になってしまった」と納得していなかった。

 2月の練習中に負った右すねのけがを引きずり、全力を出すことをためらった。部活の疲労を理由に道場に通う頻度も減り「自分に甘えている。メンタルの問題です」と手厳しい。「決勝の調子の悪さは見る人には見抜かれていた」と反省した。3月の全国選抜へ「自分よりも上の人がいる。気が乗らない時でも長所のパワーを出せるようにしたい」と優勝を目指して精神面の克服を図る。

 


全国優勝狙う  男子団体組手優勝の前原A

男子団体組手決勝 前原A―沖尚A 中段蹴りでポイントを奪う前原の伊礼寿央貴(右)

 3人勝ち抜きの男子団体。前原の先鋒・伊礼寿央貴が沖縄尚学の先鋒を3―2、中堅を5―0で下し王手をかけた。相手の大将は小学時代からの道場の同門である国吉展空。「きついけど絶対に負けられない」。自然に笑顔となって向き合った。

 プレッシャーをかけて国吉の上段突きを誘う。開始22秒、その突きが「来ると分かっていた」と機先を制した中段突きで先取。その後ポイントを与えても「自信があった」。落ち着いて時間を使い切り、先取で勝利した。

 「キャプテンとして疲れていても弱さを見せてはいけない」とチームを引っ張ってきた。全国選抜へ「優勝を狙う。得意技をいつも通り出したい」と弾みをつけて臨む。


見事なチーム力 女子団体組手V 3高校連合

女子団体組手決勝 鋭い上段突きでポイントを奪う本部・名護商工・名護連合チームの三枝穂乃香(左)

 女子団体は名護・名護商工・本部で初めて組んだ連合チームが優勝した。チーム練習なし、ぶっつけ本番だったが、見事なチーム力を見せた。

 エースの三枝穂乃香(名護)が初戦の沖縄尚学戦で県新人大会決勝で敗れた相手を退け、「チームを盛り上げることができた」。

 決勝に勝ち進み、最後は浦添との大将同士の対決に。宮城愛奈(名護商工)は「意地でも勝つ」と先手を取ろうと果敢に攻めた。相手のカウンターよりも素早い中段突きや上段突きで4―0で快勝した。

 三枝は県新人の48キロ以下級で2位、宮城は3位の実力者だ。三枝は「久々に団体に出て楽しかった。力を抜いてできた」と笑顔。宮城は「ヤンバルが強いことを示せた」と満足そうだった。